第5話 いざダンジョンへ!
朝の波乱のおさんぽ後、一度お昼を食べに家に帰った。
昼食を摂ってから、いざダンジョンへ!
だけど、
「わたしにできるかな」
「ワフ?」
見つめているのは……写真? はっ!
玄関に飾られていたのは、うちの家族と
幼馴染の彼女とは家族ぐるみの付き合いだ。
「……」
「ワフゥ……」
昨日今日でいくつか分かったことがある。
どうやら、俺が死んだのは
そして昨日、子犬として目を覚ました俺は彼女に拾われたのだ。
どうして鈴花はまたダンジョンに潜っているのだろう、とは思ったりしたけど、それなら納得はできる。
でも、こういうところを見る限り、まだ乗り越えられていない部分はありそうだ。
そうだよな、俺はダンジョンで命を落として……って、いやいや!
こんな時に俺まで暗くなってどうする!
「ワフ! ワフワフ!」
「ユキ君?」
「ホゥワッ!」
「ふふっ、またカンフーの物真似してる」
なんとかこちらに気を逸らすことに成功。
鈴花は写真立てを伏せて、俺を抱き上げた。
「わかったよ~。じゃあ行こうか」
「ワンッ!」
俺がダンジョンで活躍して、
★
「ここだね」
「ワフ」
やってきたのは家から少し
ダンジョンとは、その昔、突如世界中に現れた未知の迷宮のこと。
恐ろしい『魔物』という生き物が出る代わりに、「魔石」などの一攫千金も狙える未知の宝物が取れる。
俺もその魔物の一種みたいだけど、正体は謎だ。
まあ子犬は子犬ということで。
ダンジョンは地上から地下へと続く形になっており、下に潜るほど危険度は増し、宝物のレア度は上がる。
地下とは言っても、階段の先には草原や洞窟といった未知の世界が広がるので、なんとも不思議な場所だ。
今回は、俺が死んだ最寄りのダンジョンは避けたみたいだ。
精神的にはまだきついのかもな。
「活躍期待してるよ~」
「ワフワフ、クゥ~ン」
ほっぺたを揉み揉みされながら、鈴花は期待の眼差し。
よーし、頑張っちゃうぞ!
俺が鈴花を元気にするんだ!
俺たちはダンジョンへ足を踏み入れた。
「暗いね」
「ワフゥ」
今回は洞窟のようなダンジョンらしい。
薄暗い地下が続くような感じだ。
でも、大丈夫!
こんな時は……
「ワフワフ!」
「うん、
「ワフー!(ピカー!)」
鈴花は俺が被るヘルメットの明かりを付けた。
工事現場の人がつけるライト付きヘルメットの、ダンジョン版みたいなものだ。
「これで前が見えるね。えらいえらい」
「ワフゥ~」
お腹あたりをさすさすされて気持ち良い。
早速役に立てたぞ!
鈴花はなんでも褒めてくれて嬉しい!
そうして、
「「「ガルゥゥゥ」」」
「!」
「魔物!?」
目の前に複数体のゴブリンが現れた。
「ワフー!(下がって)!」
「うん! 任せたよユキ君!」
俺は鈴花の前に立ってゴブリン達を威嚇する。
「ワフゥ……!」
「「「ガルルル……」」」
魔物を目の前にすると力がみなぎってくる。
これが闘争本能ってやつか?
「ワフー!(行くぞー!)」
その場を蹴り出した俺は、勢いのままパンチやキック。
速すぎる動きを壁キックで方向転換したりして、
ははっ、なんだこれ!
思った以上に体が動く動く。
俺、本当にすごい魔物なんじゃないのか。
「「「ガ、ガルゥ……」」」
「ワフ(10年早い)」
そうして、楽しんでいる内に魔物は全滅。
ゴブリン達を目にも止まらぬ速さで片付けた。
「ワフ!(どうだ!)」
「すごい! すごいよユキ君!」
鈴花は駆け寄ってきて、俺を「高い高い」をする。
男側がこれをされる機会なんてまずないだろう。
「そうだ。魔石をしっかり回収しないとね」
「ワフ」
魔物を倒せば、魔石を落とす。
これを売ったりして、探索者は金に換えるんだ。
「じゃあ、どんどん進も──」
「うわああああああ!」
「!?」
「ワフッ!?」
鈴花が進み始めようとした時、前方が叫び声が聞こえる。
今の声は普通じゃない。
「ワフワフ!(助けに行こう!)」
「うん!」
俺たちは急いで前に進んで行った。
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