第5話 ――私がトラックに跳ねられた日――
私は、彼が怖かった。
――最初は、そう――
幼馴染みだけあって、仲が良かったのだ。
――いや、違う――
それどころじゃない。
――芽加美さんを、泣かすなァ!!――
私は、彼が嫌いな、はずがない。
――うちの、家の事情に口を出すな!!――
――うるさい、あんたは、芽加美さんの、母親なんかじゃない!!――
――な、何だと!?――
むしろ、私をあらゆる存在。
――あー、また芽加美だ、いつも制服が、汚い女だァ!!――
――下がって、勇沙君!!――
この世の邪悪から、その全てをもって守ろうとした、守り神だ。
――この、魔法の御守りで!!――
――ヘン、その百円ショップのオモチャで、何が出来るんだよ!?――
――ば、馬鹿にしないで、これは無敵の、魔法の、道具なのよ!!――
ワタシのタイセツな、魔法のアイテムと、同じ位に。
――馬鹿な女、気持ちワリー!!――
――め、芽加美ちゃんを殴るな!!――
――へっ、テメェも同じ目に合わせてやるよ!!――
大切な人、でも、だけど。
――……なんで、私なんかの為に、勇沙君は、そこまでしてくれるの?――
――……君は、僕の女神だから、どんな目にあっても――
怖かった。
――指一本位折れても、大丈夫だよ!!――
――……そんな!!――
――いや、僕が死んだとしても、君を護れるなら!!――
――……――
だから、私は。
――……ごめんなさい、勇沙君――
――……そう、芽加美さん――
彼の、求愛を断った。
――さよなら、勇沙君――
――……――
その時、私は彼の顔を、あえて見なかった、振り返らなかった。
――こんな重たい、苦痛に満ちた関係じゃなく――
私にだって、人並みの恋愛、それをする権利があると思う。
――その、私が「愛した」人は――
彼よりも、勇沙君よりも、顔も性格も頭も、スタイルも良くて、当然お金もある。
――俺と結婚しよう、芽加美!!――
――ええ、虎楽クン!!――
だが。
――……えっ、このご飯そんなに気に入らなかった?――
それが、私の。
――終わりの、始まり――
精神的にも、肉体的にも、死を迎える事になった、残酷な「トラック」との、衝突。
――ワタシは――
この結婚した、トラックに。
――跳ネラレタ――
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