第4話「純白の女神」



……女神。


――ようこそ、勇者よ――


 そう、彼女の声は、いつものあの、美しい女神と同じだ。


――貴方は、この世界に召喚されたのです――


 ただ。


――さあ――


 その、彼女には肉がない。


――勇沙よ――


 骸である女神様、その「骨身」に、清らかな、骨の白さにも負けぬ、純白の衣を纏った、彼女の。


……クゥ


 彼女の二つの眼窩が、漆黒の孔が、僕をじっと見据え。


――いざ――


 その「白」の口が、涼やかな声で、僕に。


――このセカイを、救うのです――


 告げた、ステータス・オープン


――HP/0――




////////////////




 ああ、僕には彼女さえいればいい。


――勇沙君、私――


――何、芽加美ちゃん?――


 たとえ、ここに、何も無くても。


――とても、幸せ――


 彼女の、華奢な、純白のカラダ。


――……ああ、僕も――


 強く抱き締めれば、折れそうな位に、細い体。


――幸せだよ、芽加美ちゃん――


 そう、僕たちの愛は、永遠だ。


――僕達は、ついに一つになれたんだ――


――ええ、勇沙君――


 そして、僕達は、お互いに、愛を誓い、契る。


――……アッ、勇沙君!?――


 その、彼女を抱き締める、僕の腕の中で。


……パッ


――痛いよ、勇沙君――


 キィ


 どうやら、力を入れすぎたらしい。


――ごめん、芽加美ちゃん――


――もっと、優しくして――


――もちろん、芽加美ちゃん……――


 彼女のとてもシロイ、全く穢れの無い、純白のどこまでも、真っ白なカラダに、苦痛を与えてしまったらしい。


――女の子の、躯はデリケートなんだから、ね?――


――……ああ――


 そうだね、気を付けよう。


 パ、キィ




////////////////




――……ザァ――


 でも、僕は何か。


――ザァ、ザァア……――


 何か、大切な物を忘れている。


「……そう、そういう」


 気が、する。




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