第44話 サイエスより帰還しました



 帰ってきました現実世界!!

 「やっと帰ってきた~あー疲れた。」

 荷物をドサっとソファーに置き、私もその横に座る。

 「アンナも疲れたでしょ!座って良いよ。何飲む?」

 ???になってるアンナにソファーに座って貰い私はお茶の用意をした。

 「宥子ひろこ、何飲みたい?」

 「コーラ!」

 私もコーラで良いか。アンナも何も言わなかったし、全員コーラで統一しとこう。蛇ちゃんズとサクラ、楽白らくはくちゃんには専用の水を用意しダイニングソファーで寛ぐ彼等に配った。

 「あれ?アンナどうしたの?」

 コーラに口を付けないアンナに声を掛けるも困った顔をされた。私はうーん?と頭を捻るも馬鹿なので思い付く事が出来ず

 「宥子ひろこ、アンナ此処に来てから喋ってないけど具合悪いのかな?」

と尋ねたら、手をポンと叩いて

 「ごめん、忘れてた!!言語最適化のスキル習得させないと。容子まさこ、お前も念のため習得しな。PTポイント振ってやる。」

 私とアンナのステータスが中に浮かび、スキルの部分に言語最適化が表示された。

 「アンナ、これで話通じますか?」

 「あ、はい。大丈夫です」

 「宥子ひろこがウッカリさんでごめんなぁ~」

 後ろで誰がうっかりだーと文句言ってたけど、知らんふりしたった。

 「アンナの部屋は私が以前使用してたアトリエをそのまま使って貰う形になる。まぁ、見て貰ったら早いと思うけど必要な物が出てくると思う。お金はこっちで出すから安心して良いよ。自分が必要な物はリストに書き出してね。じゃあ、先に部屋案内しよっか。」

 アンナの手を引いて元アトリエ部屋へ案内した。

 私作の超拘りシステム収納ベットとお洒落ディスクセット。寝ダメふかふかクッションがデーンと部屋の真ん中に鎮座している。

 「不用品は捨てて良いからね。クッションも別のにして良いし、好きにカスタマイズして。これ通販のパンフ。荷物は此処の部屋に置いて良いからね。好きに使って。さて他の部屋も案内するなぁ。」

 荷物を置かせ、アンナをトイレ、風呂場、宥子ひろこの部屋と私の部屋、客室などを案内し、リビングへ戻った。

 「一応、この家の案内は済んだでぇ。」

 コーラを飲んでる宥子ひろこに報告。

 「サンキュー。てか、お前…10000セット忘れとらんやろうなぁ!?」

 ギンっと睨む宥子ひろこにアンナを盾にして

 「忘れてない!忘れてないよぅ!!ちゃんと作るってばぁ!!」

私涙目である。

 「それよりも時計!アンナに渡したかったんだ。こっちの時間とあっちの時間が違うから新しい時計を用意した!」

 美人に似合うキャリアウーマン風の腕時計!大きい時計がサイエス、小さい時計が日本の時間に合わせてある。

 宥子ひろこが時計を見とがめて

 「綺麗じゃん!で、私のは?」

手を出してクレクレ攻撃をしてきた。

 「あんたは持ってるだろ!それで我慢しなよ!これは徹夜で頑張って作った力作なの!綺麗な姉ちゃんに使って貰う為に作ったの!この姉ちゃんは広告塔なんだよ!私のファッションを身に着けて売り付ける為の。平凡コケシは引っ込め!!」

 最初にあげたゴツイ時計を使っとけと言えば、セコイ、ズルイ、私も欲しい!と駄々っ子に成り下がった。

 宥子ひろこよ、アンナの眼が尊敬から白い目になってきてる事に気付け。

 「それよりも!アンタは会社があるだろー。そっちを何とかしなよ。明日、アンナ連れて必需品揃えに行くから!」

 宥子ひろこに会社運営頑張ってと言えば肩を落とした。

 「アンナ、時計の見方は分かる?」

 「はい、ギルドと同じデザインですので大丈夫です。」

 「OK。明日は入用の物を買いに行くからね、一緒に行動して貰う。身一つで琴陵ことおか家に来たんだし。これからは琴陵ことおかアンナって名乗ってね。琴陵ことおか家がアンタのこの世界での後見人になる。宥子ひろこはアレでも私よりも警戒心が強い。信用はしてるが信頼はしてない。信頼出来るような仲になるには相当苦労すると思うから頑張って。」

 明日は買い物だから早く寝るんだぞーとアンナと宥子ひろこを置いて私は自室に戻った。アンナと宥子ひろこで今後の事で話を詰めるだろうし、私は寝たい。






 「ゲっ結構寝てたんだねぇ。」

 時計を見れば10時間は寝ていたようだ。

 もう起き出しているかもしれない宥子ひろこ達に飯の用意をしなければと私はキッチンへ向かった。

 ダイニングには誰もおらず、二人はまだ就寝中らしい。私は朝ごはんをサクサクっと作った。サイエスの朝ごはんとは違うので、アンナが食べてくれるか心配である。

 白ご飯、味噌汁、大根の葉っぱのお漬物、京風出汁巻き卵、京味噌の焼き茄子、サラダで〆。

 宥子ひろこは絶対に手抜きーって文句言うだろうが、朝からご飯作るのって面倒なんだよ!!でも宥子ひろこを台所に入れるぐらいなら自分で用意するけど…。宥子ひろこに破壊されたキッチンは、もう見たくない!

 ご飯出来た所で、まだ寝てる二人を起こしに行った。

 「朝だ!朝ごはん出来たから起きなっ!!蛇ちゃんズに喰われるでっ!!」

 宥子ひろこよ、返事しないって事は

 「突撃だー!!」

宥子ひろこの部屋の扉を開けて、宥子ひろこが寝ているベットの上にダイブした。

 「ゲッフゥ……」

 「おーはーよー!良い朝だー!朝だよ!ハローハロー!モーングぅ!」

 ギシギシと宥子ひろこの腰の上で飛び跳ねると

 「痛い!痛いってーーーーーーーーーーーーーばぁ!!!!!!!や、やめ、止めんかゴラァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

思いっ切り私を蹴っ飛ばした。私はコロンっとベットから落ちた。痛い。

 私はパッと立って宥子ひろこの横に寝てたサクラたんを強奪し

 <おはよう、サクラたん。今日も可愛いねぇ。ご飯出来てるから食べよーね。>

 <マーちゃん、おはようですのぉ。ご飯♪ご飯♪ご~は~ん♪>

リビングへ戻る途中にアンナに会った。そうだった、彼女も琴陵ことおか家の一員になってたわ。アンナと呼ぶことにしよう。起こしに行こうっていうのが、頭からスッカリ忘れ去ってたらしい。

 「容子まさこ様、おはようございます。あの叫び声は宥子ひろこ様ですか?」

心配そうにするアンナ。

 「平気、平気、これ当たり前になってくるから大丈夫。ご飯出来てるからリビングに行こ。」

 来い来いとばかりに未だに呻いている宥子ひろこを放って置いて、私はアンナを連れてリビングへ戻った。

 「料理は私が作ってる。興味があれば一緒に料理しよ。でも宥子ひろこは駄目だ、アレは最終兵器を作るから!!絶対に料理させないで!!」

 私は宥子ひろこが作った料理??と思わしき物体Xを無理に食べさせられて、食中毒で病院に救急搬送された事がある。

 宥子ひろこの料理は見た目もヤバイが味もヤバイ。レシピ通り作れないのが宥子ひろこなのだ。食用フラワーと単なる花の違いも分からない馬鹿である。

 私はアンナを席に着かせ、サクラを私の席の横に置く。

 少しした所で腰を擦りながら宥子ひろこがブツブツ文句を言いつつ自分の席に座った。私はフードから楽白らくはくちゃんを出していた。

 「「頂きます。」」

 「い、頂きます。」

 用意したご飯を食べる。

 「宥子ひろこ、今日はどうするの?アンナと私は買い物って決まってるけど。」

 「一緒に行く。」

 どうやら買い物に付いてくるようだ。

 「会社は?」

 「たまには息抜きしたい!納期は守ってるし大丈夫だ……と思う」

 単に遊びたいだけか…アンポンタンな宥子ひろこに私は溜息を吐いた。

 私はサクラと楽白らくはくちゃんにご飯を与えながら

 「まぁ、良いけど。買い物はアンナの入用な物だからな!宥子ひろこの欲しい物は買わないよ!」

ガッツリ宣言した。

 宥子ひろこの買い物好きに理性の歯止めがない。直ぐに物を購入する。同じのを何個も飾って愛でるとか日常茶飯事である。しかも、飽きたら速攻売りに出したりするので物のサイクルが早過ぎるのだ。

 「うっ……分かった。」

 ガクっとする宥子ひろこを尻目に私はご飯を食べる。この買い物でアンナと宥子ひろこが買い物暴走するとは思って無かった。

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