第43話 鬼の商談
12時少し前になんとか冒険者ギルドのホールに到着した。
「それで、そのAランクのパーティーの名前は?」
「忘れたww」
しゃーないやん、おっさんのハーレムチームだったのは覚える価値ないし!!
「お前興味のない事は直ぐ忘れるもんな。うん、分かってたけどさ。これは無くね?代金回収出来なかったら化粧品セットのボトル10万個製作な。」
「ギェェ、殺生な!嫌だ、そんなしたら私の遊ぶ時間がなくなる!!」
嫌やー泣きを入れるも
「馬車馬のように働け」
と切り捨てた。
私と
「マサコ!来てくれたんだな」
「
嫌やーと文句を言ってる私の背中をゲシッと蹴りを入れ挨拶をすると、おっさんパーティが目を丸くした。
「見分けがつかないくらい似ているわね」
そりゃ一卵性双生児だもの。実親ですら間違うくらいだもの、似ていて当たり前。
「早速だが、昨日マサコにも言ったんだが……」
性急に話を進めるおっさんに
私の祈りが通じたのかパーティの女が、捲し立てているおっさんを止めた。
「ガルガ、ヒロコが引いているわよ。」
初対面で呼び捨てかよ!
「私は、チームバルドの魔導士リリアナよ。この男は、バルドのギルマスのガルガ。ジョブは戦士ね」
TPOを弁えずにペラペラ喋り出す彼等に
「あの、場所を変えませんか?昼食しながらお話を伺うことになったと
営業スマイルでさっさと出るぞと連中を冒険者ギルドの外へと追い出した。
チームバルドの構成は、魔導士リリアナ・戦士バルド・剣士フィーア・聖魔導士のテレサの四人だ。
壁役はバルドが兼任しているらしい。だから盾と片手剣なのか。
パーティー構成としては、後衛に偏りがあるのでアタッカーが後1人居れば安定したパーティーになるだろう。
私に目を付けたのは当たりだが、パーティーに引き込むことは出来ない。
何といっても
リリアナお勧めのレストランに入り、
「個室だなんて、高いじゃない。普通の場所でも良いよ。」
「いえ、個人的な商談なら他の方の目がない方が良いです。食事・個室の代金は私が持ちますのでお気になさらず。」
「いや、奢って貰うのは気が引ける。」
アホだなコイツ。社交辞令が
「では、食事代のみお支払いお願いします。」
ほら見たことか、姉の言葉に、何か期待を裏切られたような目をすんなし。
本当は割り勘させても良いと思ってるんだぞ?個室代こっち持ちで食事代なんか持ちたくねーわ!
個室に通され、部屋がギュウギュウになった。通された個室自体大きくないからかもしれない。
取敢えずランチセットを人数分+
「マサコから聞いていると思うが、斧を買い取りたい。」
「その前に、昨晩のポーチや化粧品、アクセサリーの代金をお支払いお願いします。支払われる前に
私に聞いた内容を書き起こし、請求書を渡している。
「総額金貨98枚ってボッタクリだろう!!」
「内訳書かれていますよね?お読みになりました?化粧品1セットで金貨14枚、それを3セット購入されています。後、様々なアクセサリーや装備も購入されてます。本来なら売出す予定などなかったのをこの馬鹿が勝手に売ったので、素材代と手間賃だけ請求させて頂きました。正規の値段で良ければ、もっと高くなりますよ?アンナさん、これらを見てどう思われますか?」
「そうですね。もっと高くても宜しいかと思います。特に
「エリーゼ様って、あのファレル領主の正妻様じゃないか!」
煩いなぁ…
「だそうですよ。どうします?正規の値段で買いますか?」
「それで、本題なんだが」
「ああ、武器は売りませんよ。
本題を言われる前に先制口撃をした。
先に釘を刺されるとは思わなかったようで、おっさんは言葉に詰まっている。
「あれだけの性能なんです!そこを何とか譲って頂けませんか?」
「届けて下さったのは感謝しますが、無理です。武器を売るつもりはありません。大体、あれは私が
いわゆる使い捨て武器だったらしいが、色々とチート過ぎるのは間違いないので、今後は要回収が必要になる。
「蛇やスライムが使いこなせるわけないだろう!」
「いや、使いこなしてますよ。使いこなさなくても売りませんし。私は商人ですけど、武器商人ではないんです。万が一、作った武器で人を傷つけるなんて想像しただけでも吐き気がします。だからお引き取り下さい。」
しかし、席は立とうとしない。
ウザイなぁ。
面倒臭そうに
「武器は売らなくても良いから、私らのギルドに入らない?マサコが1人でゴブリンの集落を壊滅させるくらい強いなら、お姉さんの貴女も相当な手練れでしょう。うちらのパーティー、アタッカーが少ないから入ってくれると助かる。」
うぉー図々しい女だな。と思ったら
「心の声全部駄々洩れだから」
「良いんじゃない?別に隠す気ないし。本音を聞けて良かったでしょう。と言う訳で、お断ります。これから別の用事がありますので、失礼します。
当てが割れた部屋に入り、内鍵を施錠したのち、自宅を出す。
突如現れた宙に浮くドアに唖然とするアンナさんの手を掴み、私たちは地球への帰還をしたのだった。
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