第13話 やっと家ですよ!!

 

 おぉ、スクーターで走っても、走っても辿り着かない。宥子ひろこは大体の位置把握が出来てるが、私は初心者なのだよ!

 途中でやっぱり魔物をザクザクと轢き殺しては、ドロップしたアイテムなどをサクサクと仕舞って行くのは手慣れた感が凄いわ。

 唐突に宥子ひろこ

 「今日は、自宅に戻るか?それとも2時間歩いて近隣の村で宿を取るか、どちらが良い?」

訪ねてきたので

 「う~ん、宿で寝たい気もするけど時差の確認が終わってないから自宅へ戻る。」

時差確認の為に家に帰るどぉ!!!

 「了解。じゃあ、スクーター仕舞うから降りて」

 私は電動スクーターから居りて、原付と一緒にアイテムボックスに仕舞われた。

 「赤白せきはくちゃん、紅白こうはくちゃん、サクラいるね?」

 赤白せきはく紅白こうはくを虫かごに入れて、サクラはショルダーバッグの中に入れて、周囲を確認して良しと自宅を出した。

 玄関だけが宙に浮いている状態に私は大興奮!現実世界でも念話したら蛇ちゃんズとサクラちゃんとも意思疎通が出来ると思う。ちょっと試したいなって思ってたら

 「誰かに見られたら面倒な事になるんだから、さっさと入って」

宥子ひろこにガスっと背中を押され、私はズベっと玄関ですっ転んだ。痛い。

 そんな私を無視した上、私を踏んずけて宥子ひろこは扉を施錠した後、サッサとリビングに歩いて行った。

 宥子ひろこに二度も踏みつけられてグエってしている私に

 「いつまで寝転がっているつもり。さっさと起きてリビングに来なよ」

本当に何事も無かったかのように振舞う宥子ひろこ

 「妹を踏みつけて行くなんて酷い! 暴力反対だ」

 キャンキャンと文句を言うも

 「退去勧告はしたのに居座ったお前が悪い。今、アイテムの整理しているんだから邪魔するな。」

サラっと流された。

 「それも大事だけど、時差確認の方が重要じゃない?」

 一矢報いるとばかりに話を逸らしてみる。宥子ひろこのことだから時差の事をスパっと忘れてんだろう。絶対に笑ったるでぇ!!

 サイエスで過ごした時間は丁度1日半だ。TVを付けてニュースを見ていると、時間差が7時間だ。

 「容子まさこ達も私と同じ時間差になっているよ。サイエスで8時間過ごせば、こっちでは1日過ごしたことになるから、これで受診をすっぽかす事もなくなるし、用事が入っているなら前日に帰ることも出来るね。」

 時間管理は面倒くさいとばかりの宥子ひろこはこれで安心だとばかりの顔をした。面白くねぇっす。妹は忘れてた、ぷぎゃーをしたかっただけなのに……

 「あ、向こうでスマホ使えたよ。メールもネットも出来た。」

 報連相ほうれんそうとばかりに宥子ひろこに伝えたら発狂した。

 「本気マジか!最初にスマホ渡された時に何で使わなかったんだ、私!」

 ガッデムッと頭を抱えてのたうち回る私に対し、思わぬところでザマァが出来たことで私は満足した。

 宥子ひろこの頭を抱えてのたうち回っている姿が、サクラには、謎の行動が踊りに見えたらしく身体を上下に伸縮させてリズミカルに踊っていた。

 サクラちゃんのこういうとこって可愛いよね、とほんわかしつつ

 「本当、そういうところは抜けているよね。」

 追い打ちを掛けたら涙目になって

 「誰だって凡ミスはあるもん。いきなり異世界に飛ばされて、レアモンスターのエンカウント率が高くって、それどころじゃなかったんだい。」

言い訳をし出した。

 「はいはい、言い訳ワロス」

 宥子ひろこよ、自爆乙とばかりにあしらった。宥子ひろこがふと

 「明日は、どうする?一緒に行くの?」

 異世界へ一緒に行くか確認してきたので

 「一週間も家を空けていたから、明日は蛇ちゃんズと一緒に残るわ。」

と答えておいた。

 「私は、原付でセブールまで行って用事済ませてくる。多分、2~3週間は空けることになると思うよ。」

 どうせ面倒事に巻き込まれるんだろうし、私は宥子ひろこにガンバっと心の中で応援しておく。

 「用事が長引きそうならメールするから」

 ネットが利用出来るとしってメールという宥子ひろこの単語に私はピコン!と閃いた。

 「電話も試してみて!電話チャットならリアルタイムで状況確認できるし」

 ゲっとした表情かおをする宥子ひろこに念押しでウィンクすると

 「……誰も居ないところで電話してみる」

何とも消極的な返事につい

 「ええーっ」

と非難の声を上げた。駄々を捏ね過ぎたようで、宥子ひろこは無常にも

 「じゃあ、電話もメールもなしで」

と言ってきたので慌てて手のひらを返した。

 「分かったよ。誰も居ないところから電話して。私からの電話はOK?」

 「即留守電に切り替わるように設定するからOKだよ。着歴見て連絡するわ」

 「了解」

 何とか宥子ひろこも電話とかOKしたので色々と久世師匠くせ せんせいへの伝言などに使おう。異世界に行けた件を久世師匠くせ せんせいにに報告して300万ゲットせねば。軍資金はいくらあっても足りない。

 私は問題の解決先を宥子ひろこに丸っと丸投げしたことで上機嫌で鼻歌を歌いながらサクラちゃんをムニムニするのに専念した。

 あぁやりたい事が色々とあり過ぎる。宥子ひろこは私がいくつかドロップしたアイテムをクスねている事に気付いてないようだ。魔石とやらで加工してアクセサリーを作るぞぉ!!


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