第12話 蛇ちゃんズのギャップに泣きました


 「なぁ宥子ひろこよ、次の街までどれぐらい掛かるんだ?」

 一時間以上歩きっぱなしな私達。元々インドアで飛ばされて補正されても体力は無いんだから休憩を多く挟まなければならない。

 「あと数日ってところじゃないかな?そんなに遠くないって聞いてるし。」

 異世界で移動の感覚を忘れているのか宥子ひろこよ??私はこんな事なら最初から電動スクーター使えば良かったと心底思った。異世界の知識0な私が口出ししちゃいけないって気持ちは宥子ひろこの返事でスッパリと消え去った。

 「私の電動スクーターと手持ちのバイク出しな。」

 ギロっと宥子ひろこを睨むと

 「はいいぃ!!」

敬礼して電動スクーターとバイクを出した。

「最初からこっちで移動してれば良かったと思わん?」

 電動スクーターをすっ飛ばし次の街へ向かう。隣を並走しているバイクに乗った宥子ひろこ

 「本当にね。気付かなかったわ。」

バッチリ異世界ライフをしていたいらしい。

 途中モンスターに出会うも宥子ひろこも私も乗り物で轢き殺しドロップアイテムをマジックボックスに入れるという行為を繰り替えしている。

 バッテリーを交換した際に時間を確認すると丁度昼時だったらしい。

 「昼ご飯にしない?」

 宥子ひろこにアイテムボックスで飯の用意しよーぜと合図すると宥子ひろこも腹が減ってたのか

 「分かった。」

 早々にアイテムボックスに手を突っ込み椅子やテーブルなどを出した。

 「作り置きの弁当だして。何でも良いよ~」

 早くご飯食べたいとばかりに強請れば、宥子ひろこは適当に選んだであろう弁当とサクラちゃん用のおやつを並べていく。

 私はポットでお茶を沸かし、少し冷ましてそれぞれのカップにお茶を注いだ。サクラちゃんには専用のお皿にお水を入れておく。

 支度が終われば皆で食卓を囲み

 「「「頂きます(ぷきゅっ)」」」

手を合わせて用意された各自のご飯をかっ込んでいく。宥子ひろこはハンバーグ弁当で私はシュウマイサラダ弁当だった。サクラちゃんは、ビーンズ。

 それぞれ食事をしていた時、私はふと思ったことを口にした。

 「蛇ちゃんズ呼ぼうよ。あの子達の世話も出来て一石二鳥だし、ティム出来ているんだから脱走するってことはないと思うよ。」

 私の思い付きに宥子ひろこは引き攣った顔をしたが、脱走しないの言葉に

「食事が終わったら試してみるよ。」

と言ったので私は食事のスピードを上げた。






 蛇ちゃんズのおっさん化に私と宥子ひろこは泣いた。

 ご飯が終わり、容器など洗って綺麗にし、片付けが終わった頃に宥子ひろこは蛇ちゃんズを召喚した。大(赤白せきはく)と小(紅白こうはく)の二匹に私はいつも以上のテンションで

「あぁ~ん、超可愛い。流石私の子!!紅白こうはく赤白せきはくもどっちもラブリーでプリティーでビューティフルよぉおおおおおおおおおお!!!」

 二匹を構おうと手を出すも二匹はさっと私を避けた。流石蛇、素早い。再度私はチャレンジとばかりに手を出すもスっと避ける。最後は捕まえようとする私VS逃げる蛇ちゃんズの構図になった。

 私はただ愛でたいだけなのに、何故?

 避けられ続けて心が折れそうな私に追い打ちをかける事件が起こった。はい、私の提案が墓穴を掘ったんです。

 「意思疎通したいから念話を蛇ちゃんズも習得させてよぉ。」

 私がメソメソしていた時に宥子ひろこがステータス画面を操作し念話出来るようにした。

 <紅白こうはくちゃん、赤白せきはくちゃん、これからも宜しくね!>

 宥子ひろこの挨拶に二匹が

 <餌もうちょい増やしてくれや。あと水なんやけど最近はミネラルなんちゃらがあんだろー?飲んでみたいわぁ。>

 紅白こうはくのおっさんぶりにフリーズ。

 <おい、たぬきブス共。たまには酒出せや。てか気安く触んな。お前等の生ぬるい体温キモイねん。>

 赤白せきはくの暴言に

 <主様はぁ、ブスじゃないのぉ。お顔はぁ、特殊なだけぇ。性格はぁ、難有だけどぉ楽しぃよぉ??>

 悪気の無いサクラちゃんのフォローになってないフォローに心が一気に抉られた。

 人生って世知辛いものなのね。顔が微妙、体系たぬき、性格難有と怒涛の攻めに私と宥子ひろこは大泣きした。

 大泣きしている間も蛇ちゃんズとサクラの暴言は止まらず、SAN値をガリゴリと削っていったのである。

 誰だよ、念話なんてしようって言ったの!!こんな真実知りたくなかったよ。

 私は早々に戦線離脱とばかりに念話を切った。

 「取り合えず蛇ちゃんズの健康チェックと食事にしようよ。」

 宥子ひろこを励ますようにポンと肩を叩きアイテムボックスから蛇ちゃんズの餌を取り出した時に宥子ひろこと蛇ちゃんズの間で一悶着あったらしい。

 宥子ひろこは鬼の形相で二匹の蛇を鷲掴みにしキレイキレイと謳いながら水に浸し生活魔法を唱えていた。

 大人しくなった蛇ちゃんズに餌をあげようとしたら宥子ひろこが餌を取り上げ蛇ちゃんズを猛烈に罵っている。

 その様子を見て、世の中って世知辛いんだなぁと念話をする事を提案した私はとっても後悔するが、その二匹がチートであったのは後の戦闘で知る事となる。

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