第7話 久世に頼る
「
出会いがしらに金の話をするとは、案外鋭い。
「
私の言葉に、
「あれだけ嫌がっていたのに、どういう風の吹き回し?」
「姉が、異世界の自称神とやらに召喚されて職を失った」
「わぁおう。それは、またデンジャラスな体験だね。
こんな話、
霊媒体質でなければ、私自身信じていなかっただろう。
「自称神様と取引した時に、自分の私有物を異世界でも使えるようにして欲しいと願ったんだって。自宅の一軒家も、半分は
「そりゃ傑作だ。その自称神様とやらは、
「さあ? そこまでは知らんよ。ただ、
イレギュラー続きで、金欠に陥っているのだ。
この状況を好転させるためにも、危ない橋を渡る覚悟がないと大金は稼げない。
「それは、興味深いなぁ。
私も同じことを考えたので、ある意味同じ穴の
「
「それは、つまらんな。抜け道の一つや二つありそうなものだが、その辺りは
余程、異世界に興味があるらしい。
「了解。そっちの線で模索してみる。縁切り関係で良い内職は無い?? 出来るだけ危なくない奴で」
「
私主体で作るお守りは、縁切り目的のものだ。
悪縁も良縁もぶった切ってしまう諸刃のお守り。
切羽詰まっている人間なら、喉から手が出るほど欲しくなるだろう。
多分、同じ個数を
お守り一つ辺り6000円。
その三割ともなれば、54000円にもなる。
材料費込みで作っても50万は手元に残る。
「因みに納期日は?」
「一週間以内に宜しく♡」
聞かなければ良かったと後悔しても後の祭り。
私は、
時間に押されて、納品分のお守りを作り上げる頃には、ヘロヘロになっていた。
「……寝るか」
ボーッとする頭で、私は重たい身体を引きずってベッドに潜り込んだ。
爆睡ちゃんをかまして、頭がスッキリしたところで部屋から出てお茶でも飲もうとリビングに向かうと
「あ、お早う」
「は?何でいんの?」
思わずついて出た言葉に、
私はそれを無視して、サクラを撫で繰り回していた。
「メール見てないの?一回帰って来た時に、時差が七時間差だって送ったのに。それに合わせて帰って来たんだよ」
寝てたから、いつ帰ってきたのか知らんわ。
「ごめん、見てない。最近、忙しくて放置してた」
「何か変な事に巻き込まれてないよな?」
「
手伝ってと言う前に、ハッキリと拒否られた。
容赦が無いわ。
「無理! 厄介事を抱え込んでいるのに、そっちまで手が回らん」
「言い終わる前に断らないで欲しいんだけど」
「聞いたら最期、絶対連行するでしょう」
「だって、その方が楽なんだもん」
思わずチッと舌打ちしてしまった。
「そっちは、そっちで何とかして。私は、異世界の邪神相手にするだけで精一杯だから」
「仕方がないなぁ」
不満そうな顔をしたら、
先程の時差について、補足説明が入る。
「時差だけど、サイエスの一時間が、日本で七時間経過したことになるみたいだよ」
「一日だと一週間になるのか……。まあ、法則が分かればやりようはあるね」
「そうだけど時差を計算するのが面倒くさい。同じ時間軸で統一して欲しかった!」
その事実にげんなりしている
「ドンマイ☆」
グッと親指を立てたら、へし折ろうとしてきたのでサッと身を捩る。
「あ、そうそう。お前、整形外科の予約すっぽかしたでしょう。電話が掛かってきてたよ。熱出して寝込んでるって事にしといたから。今日行ってこい」
「了解。ご飯食べてお風呂入ってから行ってくる。朝一なら、飛び込みでも大丈夫でしょう。その間、サクラの面倒見てくんない?連れて行くわけにはいかないし。可愛いからって頬ずりとかお菓子上げまくるのは禁止だからね。サクラ、私は用事があるから傍を離れるけど、このどうしようもないダメな妹が面倒見てくれるからね。私が帰るまでの辛抱だからね」
と必死でサクラに言い聞かせいるが、当人は分かってない様子で?マークを頭に沢山浮かべている。
「サクラちゃんの事は私に任せなさい!あんたは、ちゃんと診察して貰うこと。ご飯の支度するから、まずはシャワーでも浴びてきたら?」
「分かった。サクラもおいで」
一人と一匹がシャワーを浴びている間に、簡単な朝食をこしらえる。
面倒臭いのでご飯とみそ汁、出汁巻き卵の三点セットだ。
私の作った朝食を食べて、
「じゃあ、サクラたちを宜しくね」
「はいはい、いってらっしゃい」
私は、シッシッと追い払うような仕草で送り出す
何とも言えない顔になっていたが、知らん。
邪魔者が居なくなったので、これ幸いと私は家事に勤しんだ。
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