第2話 姉のサポートは妹がするもの

 宥子ひろこがサイエスへ旅立って数日が経過した。私は仕事の合間に武器を作成している。

 まさか宥子ひろこがサイエスへ行くとは思わなかったが、こんな時に理工を専攻していた経験が生かされるとは思わなかった。

 作るは爆薬TATPである。材料の過酸化水素水、アセトン、硫酸、塩酸、硝酸を購入し、爆弾を作っていく。サイエスのモンスターがどれほど強いのか不明の為、出来るだけ高火力のを作った。

 ピンポーン

 インターフォンの音に作業を一旦中断させ、私は玄関へ向かう。

 感じの良さそうな青年から荷物を受け取った。

 私は荷物を部屋へ持って行く。届いたのはサバゲーのHK416Cカスタム次世代電動ガンと電極銃である。これだけではそれなりの威力はあるが玩具なので、内緒で私が改造して殺傷能力を底上げするのだ。

 私は中断していた爆弾を作りを再開させたのだった。




 爆弾作りも終わり一息つこうかとコーヒーを淹れる。

 「あー肩が凝った。」

 コーヒーを飲みながらメッセージを確認すると久世師匠くせ せんせいからメッセージが届いていた。

 宥子ひろこの異世界召喚の話はまだしていないし、証拠品が手元にないので相談することも出来ない。相談したら頭を疑われると思うからだ。私だって宥子ひろこのステータス画面を見るまでは頭を疑っていたからね。

 メッセージには私に依頼が来ていた。内容はストーカー男との縁切りである。

 「報酬が少ないな。」

 琴陵ことおか姉妹で依頼を受ける場合とは別で報酬が少ない。宥子ひろこがサイエスへ召喚されて仕事を辞めたので私が稼がねばならない。武器の改造もしたいし、平日は会社に行かないといけないので時間がない。お断りしたいが軍資金の為に頑張ろう。

 久世師匠くせ せんせいには了解の返事を返しておく。

 宥子ひろこが次に帰宅するのはいつになるのだろう?それまでにはお手製の爆弾と改造エアガンを完成させておきたい。

 ノートパソコンを開いてママゾンで武器になりそうな物を物色していく。いつまでも武器が万能包丁というのも何だしね。

 粗方買い物を済ませた後、私は夕飯の買い出しへと家を出た。

 玄関横に置いてあったバイクが無くなっている。

 「あいつこの世界の物も向こうに持っていけるのか。」

 MMORPGが元になっていると言ってたからバイクはオーバーテクノロジーではないだろうか?ふとそんな事を思ったが、レベル1で異世界に飛ばされたのだからこれぐらいのうま味がなければやってられないだろう。

 「こっちの世界の物をサイエスに持って行けるなら宥子ひろこのお宝グッズを売りさばくか。」

 この家に引っ越しして来てからずっと開けられてない170センチの段ボール箱の数々を思い出して宥子ひろこにサイエスで金に換えて貰おうと思う。中身は使ってないポーチやバックの付録だ。箱の数も20個とかなり多い。

 「リサイクルショップでは買い取れないだろうし、フリマやオークションでは落札されるまでに時間がかかるしね。裁縫がしっかりしてるし、異世界ではちょっとした高級品になるんじゃない?其れに向こうの商品をこっちでオークションやフリマで売るのも良いかも!」

 私が衣服を作成して高値で売って貰うのも有りかもしれない。中学の時からコスプレにハマったので、施設の近所に住む裁縫師のお婆ちゃんに弟子入りしたのでそこそこの腕前であると自負している。

 「そうなると買い物じゃなくて荷物整理しなきゃ!」

 私は買い出しをキャンセルして宥子ひろこのお宝選別する事にした。

 堆く山積みになった段ボールを一つひとつ開封していき、使用済みと未使用の物を分けていく。使用済みでも綺麗な状態の物であれば向こうで売る予定だ。使用感があるのは保留にしておく。賄賂として渡す分に丁度良いと思うからね。

 荷造りしていたらあっという間に夜になってたので、慌てて買い出しに行きカレーを作った。

 しかし待てど暮らせど宥子ひろこは帰って来なかった。

 今日の夜には帰るって言ってたのに帰って来ない。

 結局、宥子ひろこが帰宅したのは三日経っての事だった。同日、ママゾンから購入した武器が届き一部屋占領したのであった。






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