第32話 燻っていた疑問

「それに、あのギャングツインズって確か、朝帰りの子の弟妹だった……かな」

「ほぉーっ、愚弟が世話になったあの女の」

玉響の情報に、あからさまに知っているのにニヤニヤしながら驚く白夜。


その厭らしさが、幽玄には気に入らない。


「世話になった子の最愛なる弟妹のピンチなんだ。手を差し伸べるべきだろう?」

想定外な言葉を白夜は口にする。

「えっ!? 何だよ、それっ」

何処からそうなったのか、幽玄はびっくりして発案者の白夜をガン見する。

そして、視線を玉響へ移すと「うんうん、そうだねー」と何故か納得している玉響が居た。


「訳わからん」

もう呻くしかない。

しかし、この家で兄二人に盾突くことを許されている訳ではない。

一定の秩序は存在する。


目上の、それも兄たちの言葉を無視することはできなかった。


「──わかったよ」

それだけ伝え、傍にいた者に「ちょっとワックス貸せ」と取り上げると、前髪をかき上げた。

同一人物だと双子に思われては困るからである。


「お前も色々と大変なんだな。何故そこまでして学生に執着するんだ?」

白夜は高校に入り直した幽玄の真の理由を尋ねる。

それは、この一家での七不思議でもあった。


幽玄は誰にも理由を話さない。

勿論、親父にでもある。

だから大喧嘩に発展したのだ。それでも結論、幽玄は喋らなかった。


いつか問いただそうとは思っていた疑問を、白夜は幽玄にぶつける。

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