第31話 秩序

そんな珍しい二人の登場で、その場の空気は一気に冷えて全員に緊張が走る。

一番イラついていた幽玄も怒りさえ吹っ飛び、我に返る。


「やれやれ、やっと戻って来たか」

そして白夜は「で、何が今回のトリガーだったんだ?」と面白そうに尋ねる。


「ホントだよ、僕の腕まで犠牲になったんだからね」

「いや……それは勝手に」

幽玄が突っ込もうとした時、横から「兄貴ぃーっ!! ありがとうございますっ!!」と涙ながらに駆け寄ってくる。

それは先程、特攻要員と位置付けられていた若い奴だった。


それはもう泣きじゃくりながら玉響に礼を言い頭を何度も下げる。


「ハイハイ」と言いながら玉響はそれを宥めていた。

そんな二人を横目に、白夜は幽玄に答えを求めた。


「いや……あのギャングツインズに絆されて騒いでたから、粛清しようとしたまでだ」

幽玄なりの正論に白夜は真顔になり、結論を述べる。


「ふぅーん、まあ幽玄にはその権限は無きにしも非ず。だが、まだ早い」

そう一刀両断する。

「お前は確かに位置的に時期組長かもしれない。だが今は単なる組長のイチ息子ってだけだ。イチ息子だからって、何でも好き放題していいわけではないからな」


「そうだね。いくら無法者の集団って言ったって、極道には極道の秩序ってのは大切だよ」

そう付け加えると、玉響も立ち上がる。

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