第6話 インプットされていないその後の記憶

そんな事を言いながら、ランはニヤリと笑い店員に「アレ持ってきて」と指示を出す。

小さな包みを受け取ると、楽しそうにカクテルを作り、それも投入していた。


「おい、また実験台とか勘弁しろよ。お前じゃなかったら何度三途の川を往復してるのか分からねーぞ」

何やら画策しているのは、目の前で作っていることもあり幽玄は予想はしていた。


このママであるランの趣味が、ドラッグの調合なのである。

ヤバいやつから、本当にアロマ的なモノまで〝何でも御座れっ〟てノリであった。

噂では薬剤の免許を持っているとか。

本物か疑わしいが、別に幽玄にとってはどうでもいいことだった。


使える部分がしっかりしていたら、後は不問なのが暗黙のルールである。


「大丈夫よ。今日ははっちゃけたい感じでしょ? たまには酔いなさい♡」

そう言い、ランは一杯のカクテルを差し出した。


ブルーの色が淡い店内で映える。

幽玄は「ふーん」と言いながら、無言でランに説明を求めた。


「今日は〝エクソシスト〟をベースにアタシのオリジナルよん。ある意味厄払いってニュアンスを含み……って、うんちくはどうでもいいわね。どう? ぶっ飛ぶわよ」

ニヤリと不敵な笑みで提供されるそのカクテル。

幽玄はフッと笑うと「お前長生きできねーぞ」と吐き捨て、口に含み堪能すると喉に流し込む。


(いや……その後……あれ、その後は……)


その後の記憶が……幽玄の脳にはインプットされていなかった。

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