⑪運命のイタズラって、あるみたい
「ねぇ」
「なんだ?」
「マリアのお願い聞いて」
「いいぞ」
「このカードをもらって欲しいの」
「なんだ、これは?」
「内緒のサービス券。アタシを指名してくれたお客さんにあげてるの」
アタシはお客さんに割引券とウソをついて
もちろん、近藤くんには内緒で。お客さんに怪しいカードを配っているとバレたら居場所を失う。
近藤くんには申し訳ないけど、この仕事を始めてから色んなお客さんと交わって
この
だけど、お客さんに配ったのと同じカードは、アタシから産まれ続ける。
「もういい加減にしてよ!」
アタシは怒りに任せて
アタシは
「どうしたらいいのよ……」
自分の人生に絶望していたアタシはベッドの上にあった
そういえば、このカードを手にしてから多くの
この
「
そうか。
「
アタシが地獄から抜けるために
「なんとしても見つけないと」
***
「さぁ、今日はどんなお客様が来るかな」
アタシはお仕事をするためにお店に向かっていた。今夜はどんなお客さんがアタシを求めているのか。想像するだけで自然と笑みが溢れる。
そのほとんどが体目当てで鼻の下を伸ばしているイヤらしい男ばかり。
お店に向かっていると、夜の繁華街を歩いていると野次馬が道を覆い尽くしていた。
何があったんだろう? 危ないお兄さん達の抗争かな。任侠映画のようなことが日常茶飯事のこの街では珍しいことではない。
「あれ? どうしたのかな?」
野次馬の隙間から覗き込むと、誰かが道に倒れていた。
ボロボロの服を着た男の子だった。
アタシとそんなに歳を変わらない見た目していた。
「何しているんですか!? どいてください!」
アタシは野次馬をかき分けて倒れている男の子に駆け寄る。
「あなた、大丈夫?」
男の子の意識はあるようだ。
良かった。だけど、かなり衰弱している。
「待っていて、すぐに救急車を呼ぶから……」
アタシが携帯電話を取り出して救急車を呼ぼうとすると、男の子は目を開けた。何かに怯えたような表情を浮かべて、アタシに訴える。
救急車を呼ばないで! アタシには彼がそう言っているように見えた。
「わかった。立てるかな?」
男の子は大丈夫とゆっくり頷いた。
アタシは彼に肩を貸してあげて、ゆっくり立ち上がらせた。
「きみ、名前は?」
「ひ、檜山です」
この檜山という少年との出会いがアタシの人生に大きく関わることをアタシはまだ知らない。
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