⑧相互補完(クラウド)の誕生
アタシと行為を終えた彼は満足そうな顔で部屋を後にした。
いつも男との行為が終わってから、アタシは後悔している。
どうして、あんな男と行為をしてしまったのかと。
しかも毎回避妊具を付けないで。
避妊薬を飲んでいるから大丈夫。そんなウソまでついている。
避妊薬も避妊具も付けないで行為をすれば、妊娠してしまう。
その危険性も顧みずにアタシは行為をしている。
行為後、毎回子供が宿っていないか心配で妊娠検査薬を使う。
「また陰性か」
今回も陰性の結果を確認が出来てほっとした。
不思議なことに毎回陰性結果であった。
どういうこと? 避妊具無しで、あれだけの回数をすれば妊娠しても不思議ではない。
もしかしたら、アタシは子供が出来づらい体なのかな?
その危険性さえも疑ってしまう。
アタシは見慣れた天井を見ながら、自分の虚しい行動に思わず涙が零れた。
女として必要とされたい。子供の頃から顔が醜いという理由だけで、女扱いされなかったことから自分の承認欲求を満たしたかった。
今は美しい顔と抜群のスタイルを手に入れて、その願いは叶えられている。
だけど、アタシが望んでいたものとは、かけ離れている。
今は体は満たされるけど、心は全く満たされない。
「どうして……こんな風になっちゃったの」
あれ? 痛い。アタシは突然の腹痛に襲われる。
謎の腹痛に苦しんでいると、アタシの手には再び赤いタロットカードのようなものが握られていた。
今回はで
大きな灰色の雲の上に神様を思わせるおじいさんが立っている。その人が土下座している人間達にタロットカードをばらまいているように描かれている。見ていて気分が良いものじゃない。
「
そうカードには書いてあった。
初めて見たはずなのに。このカードが何を暗示しているのか、どのような役割があるかも手に取るように分かる。
この時のアタシは
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