寄生事実(パラサイト) エピローグ
館中を探しても
「
その妖艶な姿に女であるはずのわたしも思わず見惚れてしまった。
「あら、アイちゃん。どうしたの?」
「
「あら、ファンレターかしら」
恐らく思い描いていたものと違う内容が書いていたのだろう。
「ありがとう。次の予約は何時?」
「16時です」
「そう。次の予約までアタシは部屋で休んでいるわ」
「畏まりました」
あの手紙に一体何が書いてあったのだろう?
わたしが
この時のわたしは知る由もなかった。
***
「
「はい」
アタシは
「近藤くんが亡くなったわ」
「そうでしたか」
「72歳ですって」
「男性の平均寿命は全う出来ましたね」
「あなたは随分冷たいのね。もう数少ない友人じゃない」
「失礼いたしました」
「またアタシの友達が行ってしまった。もう50年前のアタシ達を知る人はほとんどいないわね」
こうやって過去のアタシを知る人間がどんどん減っていく。
目的達成のために都合が良い。それなのに心のどこかで寂しさを感じているということはアタシの中に人間らしさが残っている証拠なのかしら。
ねぇ、
そう訊きたいけど、彼は窓からの景色を見ていた。
外は雨が降り始めていた。
まるで、人間らしさを失いかけているアタシ達の代わりに泣いてくれている。そんな気がしたけど、彼には言えなかった。
アタシは
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