⑧寄生事実(パラサイト)の末路
わたしは
業務を終えて
いや、なんて醜い最後だったのだろう。仕事とは言ってもあんな人のために時間を費やしたと思うと、嫌気が差す。
もっと嫌なのはこの事実を
なんて腹立たしいのだろう。あんな人がどこで野垂れ死のうがわたしには関係ない。
でも、
心苦しいが事実をそのままお伝えしよう。
わたしは大広間のドアを開けると、
見慣れた姿とは言ってもなんて凜々しいのだろう。
このままずっと眺めていたい。
「
「は、はい」
どうしてなのだろう!? こちらを一切見ることなく、名探偵のようにわたしの名前を口する
「どうしたんですか? 立ったままで」
あぁ、
いけない。今は仕事中。わたしは自分に渇を入れて気持ちを切り替えた。
「
「そうですか。彼もダメでしたか」
「はい。詳しい内容は報告書にてご報告致します」
「わかりました。よろしくお願いします」
わたしの報告を聞いた
新聞の裏で彼がどんなことを考えているのか、妄想しながらわたしは報告書作成に取りかかった。
***
館の大広間は急に暗くなり、天井からスポットライトを思わせる光の柱が
「皆さんはロイコクロディウムという名前をご存知ですか?
これは寄生虫の名前です。
見た目は芋虫のような姿をしていますが、彼らは幼虫の集合体です。
芋虫状の袋の中に約100匹以上の幼虫が潜んで生きています」
「彼らは主にカタツムリに寄生しています。カタツムリに寄生し、そのカタツムリを食べた鳥に寄生。その後、宿主の鳥の糞に卵を仕込む。それを食べたカタツムリに寄生。彼らはこのループの中で生きています」
「まさに
「
彼はこれを繰り返して異性との行為を楽しんでいました」
しかし、
「しかし、彼は
そこには羽化に失敗したであろう昆虫の蛹が転がっていた。
「彼は未来に羽ばたく蝶ではなく、誰かに寄生しないと生きられない
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