①蝶のように舞えず、蜂のように刺せない

「ハッチ? どうしたの?」


「アゲハ? ここは?」


「何言ってんの? いつものホテルじゃん」


 オレは辺りを見渡すと、アゲハと密会する時によく使うホテルの部屋にいた。

今日はアゲハとヤる日だったか?

 オレはアゲハと会う予定があったかどうかも覚えていない。


 それにどうやってホテルに来たかも分からない。酒でも飲んでたのかな?


 酒の力で来たにしても酔いは全然回っていない。むしろ、意識ははっきりしている。それなのにアゲハと会う予定があったことも、どうやってホテルに来たかも覚えていない。


 まるで、何か意識を乗っ取られている感覚に近い。

 だけど、目の前に人気清純派女優のアゲハが色っぽい目でこちらを見上げている。大きすぎ小さすぎない膨らみがブラウスの上からでも確認できた。


 興奮を抑えきれないアゲハの吐息がオレの性欲に火をつける。

 アゲハがオレとヤりたくて疼いている。何もしないのはアゲハに失礼だ。そう思ったオレは理性よりも本能を優先してアゲハを抱いた。


 しかしオレは気づくべきであった。自分がとんでもない状態になっているという事実に。


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