WARASHIBE - 2

 ワラシは生まれも知らず育ての親とは死に別れ栽培工場でキノコの面倒を見ることで活計を立てていたが全く貧しく未来も見えず苦悩して過ごしていたからある日神にすがる他なしと地下鉄ホームを降りて漆黒のトンネルに入り「神様どうか我を救い幸せな人生をください」と祈ったら地震が起きてトンネルの天井が崩落しワラシは元の駅に戻れなくなったので仕方なく真っ暗な中を手探り進んで壁に生えていたキノコをひと房掴んでしまう何かの役に立つかもしれぬとポケットに入れて前へ前へ進み見えてきた光は隣駅ありがたや彼はホームに上がり辺りを見回すと赤子の鳴き声近づいてみると捨て子試しにポケットのキノコを振ると喜んで泣き止んだから赤子にキノコを押し付け傍にあったドロップキャンディの缶をかっぱらい地下鉄ホームを進むと途中に女と老人がいてハンガーノックだったから缶のアメをやる回復した女は上等な首飾りをくれた喜び舞い上がるワラシはモヒカン髪トゲトゲ肩当の筋骨隆々男にぶつかってしまい恐怖でひたすら謝罪したらその男は首飾りの代わりにこの錆びたカギを受け取れというのでワラシは泣く泣く高価な首飾りと錆びたカギの交換に応じるしかなかったのである。

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