ヤク地蔵 - 3

 警官を殺した猟師は「ずしん、ずしん」と足音を鳴らして山小屋に入り、大きなシャベルを持ちだし、あっという間に穴を掘り、死体を埋めました。


「そこの黒人さん、あんたもヤバイ奴だろ? これも縁だ。休んでいきな」


 雪中を逃げて体が冷え切ったマーティンは山小屋に入りました。

 小屋の中央には火の入った囲炉裏があり、天井の梁から自在釣――フックが伸びています。汁物を炊いた鍋がフックにぶら下がっていました。


 七人の猟師はみないます。甘い匂いから上物をやっていることが分かりました。


「ミナサン、ハッパ、ファン?」


 猟師はみな笑いました。


「もちろん! あんたもやるかい」


「ワタシ、エンリョ。作り手が食う、ヨクナイ」


「じゃあ酒かメシでもどうだ。温まっていきな」


 マーティンはサケを飲み、暖かいミソスープをやり、イロリで焼いた魚のヒモノをごちそうになって元気を取り戻しました。


 先ほど警官を射殺した猟師は小屋の奥に行き、じゃらじゃら鳴る布袋を持ってきてマーティンに袋を突き出しました。


「おう兄ちゃん、オマワリ殺し、これで見なかったことにしてくれるよな」


 受け取ったマーティンが袋を検めます。大量のコバンでした。再起には十分な量。

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