第2話  帰宅部への入り口2

他の生徒も皆部活見学に行った。俺は混雑を避けるためまずは文化部から見に行く。やっぱり運動部はバスケやバレーが人気なんだな。他の奴らの話を聞く限りそこら辺の部活を見学しに行く人が多いらしい。

「えーと……まずは…?」

美術部から見学しようとしたが俺は目の前の光景に驚きを隠せないでいた。

「………んだよ、この部活」

俺の目の先に映るものは…帰宅部と書かれたプレートだった。まさかだ。さっき荒川が言ってた事は…こういうことだったなんてな。

「………!」

俺はツバをゴクリと呑みこみ、教室のドアに手をかける。よし、開けよう!中に人がいるかも知れない!少し気になっていたんだ…帰宅部という存在を…!

ガチャ

ドアを思いっきり大きく開ける…!でも…そこに部員はいなかった。でも、少ない机の上に手紙の様な物が置いてあった。机に近づき紙を見てみると

《部活見学に来た人へ》

と書いてある。手紙を手に取り、ペラッとめくってみせる。

「なんか書いてあるぞ」

《帰宅部の人は皆帰りました。残念でした~!(変な絵文字)》

……………………!まぁ、帰宅部だし帰るのは当たり前だが…ここまでして……!

「なんだよ!帰宅部があるのに本当に帰るなんてッ!!」

そう大きな声で叫ぶと何やら後ろからガサガサと物音がする!すぐさま振り向くと時すでに遅し、2人くらいの人が俺に…飛びかかってくる…!!

「ウアァァ!!!」

…何が起きたのか…?

「エッヘヘ!ドッキリ大成功なりぃ~!!」

「大成功じゃないッスよ!!」

俺は飛び起きツッコむ。これは…ドッキリなのか?

「君が新入生か?」

金色の短髪を輝かせる彼女。俺は一瞬魅入られてしまった…。

「お~い!」

「ハッ!……え?はい…そうです」

「おぉ可愛いもんだねぇ~」

「………姉さん!!なんで私にもやらせるんですか!!」

ん?この少し聞き慣れた声。さっきまで頭の中で流れてた声…。まさか…!

「荒川…真昼さん?」

「あっ……!」

荒川は俺と目が合った瞬間頬を赤らめる。恥ずかしがってる?そんな姿を見て俺は何故か可愛いと思ってしまう…!

「こ、これは…その……」

「?もぉ~!そんなに恥ずかしがることはないでおじゃるよ~」

おじゃ○丸?なんで語尾がおじゃるなんだよ!

「おっとっと~。遅れたな!私は二年の荒川渚(あらかわなぎさ)!この子は私の妹さ!」

「姉妹なんすね…。あ、俺は高城巧です」

「ほぉ~。巧……?良い名だな!」

「あ、あざっす」

何をやってるんだ俺!なに恥ずかしがっている!やべ、顔みれねぇ。

「本当にあるんだな…帰宅部って」

「うん。私が去年作ったんだから!」

「えっ!?去年?」

「うん!だって部員今の所私と三年の松崎さんだけだもん」

マジか。てかよく三年入ったな。

「その松崎さんは?」

「今は来てないよ。でも明日とかにはくるんじゃない?」

「まぁ、三年ですからね」

「そうそう勉強で忙しいからね~。でもあの人大学行かないって言ってたな~」

「じゃあ勉強じゃないですよ!」

いつの間にか先輩とも仲良くなっていた。なんか悪くも無い気がしてきた。でも他の部活も一応見てみたいな。

「君は入るの?帰宅部」

「……まだ考えてないです…」

「ま、時間は沢山あるからね~。それか仮入部で入ってみても良いけど~!」

仮入部か…。確かにそれも悪くないのかもな…。バスケ部も良いがなやっぱり中学の時みたいになるとな……。別にやりたくないって訳では無い。でも……!

「一応…仮入部という形で入っても…?」

「ワァ!良いの!?入ってくれるの!?大歓声だよ~!!」

先輩は目をキラキラと輝かせ飛び跳ねる。ココなら楽しい高校ライフが楽しめそうな気がする。いや、絶対楽しめる。そうに決まってる!

「所で…?真昼は?」

「えっ?私?………じゃあ…私も………!」

「はい、決まり!これで四人になった!あと一人だね!!」

ん?今なんて言った?確かあと一人って……?

「どういう…こと?」

「あぁ~この前先生に言われたんだ~部員が五人以上いないと廃部になるって!」

「え?……エェェェ!!!」

ーーー続くーーー

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