第3話 先輩とラーメン
「ねぇねぇ~今日ラーメン行かない?」
部活に入った次の日、俺は先輩にそう声をかけられる。あまりに突然だったのでどう反応していいのか分からなかった。
だが先輩が俺に声をかけてくれるんだ…!
「はい!ぜひ……?」
行きたいですと口を動かそうとしたとき俺の右肩を誰かにポンと叩かれる。ゆっくりと振り返ると肩を叩いたのは荒川真昼であった。なにかと口を動かそうとしたとき、またしても止められる。
「ちょっとよろしくて?」
「え?」
そのまま俺は荒川真昼に制服の襟を掴まれ、教室の隅へ連れられる!
「…なんです?」
荒川真昼は俺と顔を近づけ、耳に囁く。
「姉さん、最近ラーメンやらお菓子やら食い過ぎて太ってきていますの…」
「え!?そうなの?」
「だからラーメン屋に行くのを止めて欲しいんです!」
なるほど…。妹なりの優しさというわけか…!
俺は女には優しくなれる!よし、やろう!
「分かった…!やってやるよ」
「ほ、本当ですか?よろしくお願いします!」
彼女の笑顔に俺は魅了される。いかんいかん!今日は姉だ!渚先輩のために…!
「あの…先輩?」
「どったの?」
「今日ラーメンはちょっと……ねぇ?太りますし……!渚先輩も…太りますよ?」
「巧さんストレート過ぎです!!」
後ろから真昼の声が聞こえる。だかその声は先輩には届いていないみたいだ…!
ストレートすぎたか…!なら…
「いいもん!」
「ん?」
「別にいいもんね~!太っても!」
「姉さん!男子にモテなくってもしりませんよ!」
「ウェッ!……い、いいもんね!」
「あら~?いつも家でモテたいモテたい言ってるのに?」
なんだこれ?もう姉妹喧嘩じゃないか。間にいる俺がなんか嫌になってくる…!
「巧さん!どうすれば良いと思います!?」
「巧くん!どうすれば良いと思う!?」
二人は仲良く同時に俺に振り向き問いかける。
ヤバい。どうしよう…どうしよう!
これ、良くアニメとかであるけどぉ~!!
「……大事なのは………」
二人とも固唾を呑んで俺を見つめる。
「食うことだと思う!!」
「ほっら~!!みたことか!!」
すまない…真昼よ……!
「巧さん……?」
満面の笑みで拳を構える真昼。
「え、なに?俺が悪いの?」
「巧くんは悪くないよぉ~」
「悪すぎます!」
「まぁまぁ~よし!行こう!!」
「お~!!」
「行こうじゃありません!!お~でもないです!」
ーー30分後ーー
おい…聞いてないって…!ラーメンとは言ってたけどさ……!
なんで二郎系なんだよぉぉ!!
「決まったの?」
「……はい」
「じゃあ!濃厚無双ラーメンの…海苔トッピングで!」
「お、俺は同じので……」
せっかく来たのだ…!気を取り直して店の紹介しよう。
俺らが来たのは濃厚豚骨豚無双さんである。とあるYouTuberの影響で結構人気があるらしいが最近は人足が絶えてきてしまってるらしい。
この店の特徴はなんと言ってもあのワシワシとした食感の極太麺だ。そしてこれでもかって位ドロドロの濃厚スープも最高らしい。
そんな事を頭の中でナレーションしているとラーメンが卓上にやってきた。これが濃厚無双ラーメン海苔トッピング!
うっひょょぉぉぉ~~!!!
「ぐぇぇ!!今気付いた!このコップ、水垢が付いてるぅ!!」
「えぇ~!!すす、すみません…!お詫びと言ってはアレですが…チャーシューサービスします……!」
「おうおう!ありがたい!」
チャーシューをサービスしてもらい、俺は箸を手に取り、手のひらを合わせる。
「まずは…スープから~コラ~!!!」
次はなんだよ…!
「虫が入ってるじゃあないかぁ~!!」
先輩は怒りのあまり卓上調味料を全て倒す!
おい!何やってんだよ!
「す、すいません!!これ!チャーシュー丼です!!」
店主さんからチャーシュー丼をサービスしてもらう。店主さんは頭を深く下げたまま直らない。
「ふん!私次第でこの見せ潰すことだって出来るんだからね!」
あぁ~コレなんかで見たことあるやつだー
そんなこんなでラーメンを食い終わった俺達。
腹一杯にし、帰ろうとしたときスマホの通知音が鳴る。
「?誰だ?」
画面を明るくした瞬間、なんか絶望感を感じた。
そのメッセージは真昼からのモノだった。画像と共に文も送られてきている。
《こんばんは、巧さん。なんか二郎系ラーメン食べに行っていたらしいですね》
あ、あぁ~!!バレた!てかこの写真俺達がラーメン食ってるときのやつじゃねえか!!
お前も来てたのかよ!!
明日学校に行ったら、どうなるのか……!
憂鬱だ。
ーーー続くーーー
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