帰宅部内での恋愛はアリですか?

@hiraichen

第1話 帰宅部への入り口1

ーーーーー

4月に入り俺は高校生となった。仲が良かった友人とは1回別れを告げ、皆別々の道へと歩んでいった。俺の高校は電車で30分程で行ける所に位置してる。在校生は334人。大体1学年に110人程だろう。偏差値はまぁ、ごくごく一般的だ。俺は偏差値より楽しい学校生活を送れれば良いがな。

入学式では他の奴らをよく観察してみたが面白そうな奴があんまりいないのが印象的だった。なんか……な。可愛い女の子はいたがイケメンと言うイケメンはいなかった。先輩には変な髪型をしてる奴もいたが今回は触れないでおこう。

そんなこんなでとうとう今日から授業が始まる。とは言っても学活とかだがな。それに部活見学も出来るらしいんだ!どんな部活があるのだろうか…?俺にあった部活があれば良いが…。

ー初登校ー

「は~い!皆さん~?おっはよう!!私は若林瑞穂で~す!今日から皆さんの担任ですよ?担当教科は古文です!よっろしくぅ~」

個性的な人がココにいたな。先生がこんなハイテンションだなんて聞いてないぜ?

「まぁまぁ、最初は自己紹介から!ではでは~荒川真昼さ~ん!」

そう先生がハイテンションで言うとガタガタと椅子の音を立てて、荒川真昼が立ち上がる。

凜とした顔付きの彼女だ…。

「荒川真昼です。趣味は人間観察、麻雀です。よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げ、席に着く。

??麻雀だと?人間観察はまだ分かるが麻雀だと??…………まぁ、今は多様性の時代だ。おかしくは…ないな……!

「岡田和夫ッス!趣味は野球ッス!」

坊主の男が頭を掻きむしりながら言う。確かに君は野球顔だな。

そんなことを考えてると俺の番が回ってきていた!マジか!考えてない!

とりあえず立ち上がったが何言うか決めてない…!どうしよう……!

「た、高城巧(たかしろたくみ)です!趣味は……特にないです。どうすれば早く家に帰れるかを計算するのが特技です!」

ヤバい、即興で考えた割には良いんじゃないか?……!やはりクラスに反応はない…!まぁ良い!俺の嫌いな自己紹介が終わったからな!

この後も自己紹介は5分くらい続いた。趣味が筋トレや魚釣りの奴もいればゲームという奴もいた。なんだかんだ皆個性的で良いかもしれないな。なんか楽しめそうな予感がしてきたぞ!

「今日の本体は部活見学です!自分達に合った部活があることを…!!」

先生が手を重ね頭を下げて念仏する。部活動。俺が1番楽しみにしていた事だ。中学ではバスケ部に入っていたが怪我が相次いで試合に出ることはおろか、部員との楽しい時間も過ごせなくなった。そのせいで部員との距離は段々と離れていき、声もかけられなくなってしまった。

だから後悔しているんだ。部活に入って…。でも高校ではそんなバスケ部員はもういない。

別にバスケ部員達のせいで楽しめなくなったとは思ってはいないがな。ただ後悔しているという事だ。

学活が終わり、皆荷物をまとめ部活見学に行こうとしている。俺はなにを見ようかとずっと考えていたがやっぱりバスケなのかな?

そう考えながら荷物をまとめていると目の前に人影が1つ…。

「ちょっと…?」

「?確か…荒川真昼さん?」

清楚な感じの彼女はサッと髪を靡かせ俺に言葉を向ける。

「貴方…帰宅部入れば?」

「帰宅部?……いや、俺は普通に部活に入ろうと…」

「私の姉も入ってるから。是非良かったら、見学に」

?何を言っているのか?帰宅部というのは俗に言う部活に入っていない奴の事だろ?

「なんか分かんないけど俺はまだ決めてないよ。でも俺は入んないからな~」

なんか早く去りたい気分だったので背中を向け、軽く手を振って教室を去って行った。

それにしてもなんなんだろう……。俺達の思う帰宅部と違うのかな?

ーー続くーー

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