第12話 閑話 陽子SIDE 『今迄の生活が嘘のような生活』


私はどうにか死なないで帰って来られた。


正直にいえば、泰明くんという男の子が自分の手を汚してまで助けてくれたからだ。


裸にされて恥ずかしい事を言わされたけど…


あれは仕方が無いよね…


普通の男の子が殺人鬼に戦いを挑むんだから…


怖いと思っていたし、最初はパッとしない奴、そう思っていたけど…


助けて貰ったせいか、凄くカッコ良い、そう思ってしまった。


私はきっと、凄くチョロい。


だって仕方ないじゃない…


私の人生の中で、虐めない人間ですらいなかったのに…


『守ってくれた』そんな人は彼だけだったんだから仕方ないじゃない。


私の王子様泰明くん…また会えるよね。


◆◆◆


今、私は…凄く幸せな学園生活を送っている。


『2週間だけ学校を休み、アリバイを持つように』そう指示された。


2週間がたち学園に通うと


『今迄の生活が嘘のような生活』と言うのは私が思った以上に凄かったのよ。


まず、私を虐めていた中心人物の子は…自殺していた。


しかも彼女だけじゃない…家族全員で首を吊っていたそうだ。


彼女の家はこの辺りでは結構な金持ちの家でこの辺りを牛耳っていた。


私から見たら凄く幸せそうに見えたし、この親が庇うから学校も助けてくれなかった。


それが一家心中…どう考えても信じられない。


それだけじゃない。


その取り巻きの女の子達は…売春中に薬を決めて乱交した挙句、発作を起こして、死んでしまっていた。


虐めを黙認した担任やこの学校の校長は山奥で自殺していた。


不倫の末の自殺と言う事になっているが…


私の担任の女教師は若く婚約者がいた筈だし、校長はオシドリ夫婦だったし子煩悩だった。


それがどう考えても心中なんてあり得ない。


しかも、それぞれの事件は問題なく…解決済みらしいのよ。


◆◆◆


それより可笑しいのは…


「陽子さま…お帰りですか…」


「陽子様…お小遣いをあげます5万円で良いですか?」


私に忠実な両親。


腕には注射を無数に打った後に焦点のあって無い目。


これが私にきく耳を持たずに暴力を振るった親だとは思えない。




警察でさえ手玉に取り、洗脳すら行える組織…


一般人の私には縁はもう二度と無いんだろうな。


これが幸せかどうかは解らないけど


『今迄の生活が嘘のような生活』には違いないわね。



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