第2話 場違いなイケメン

XXX駅、こんな遠くまでよく来たもんだ。


無人駅で周りに家は無い。


秘境駅っていうのか、そんな感じだ。


もし、こんな事が無かったら来ることも無かっただろう。


4人のうち3人はもう来ていた。


背が低く、ゴシックロリータの服を着ている女の子がいる。

恐らくあれが陽子さんだろう。


背は低いがスタイルは良いのに、三白眼のきつそうな顔で台無しだ。


良く見ると手首に包帯を巻いているからリスカしたのかも知れない。


あの中年の親父が和夫さんなのだと思う。


スーツ着ているしたった1人の社会人、さえない感じの中年のおじさんだ。


そして眼鏡をかけたオタクに見えるアニメのキャラTシャツを着ているのが、きっと大樹さんだな。


神代さん以外は全員集まっている。


「初めまして泰明です」


「初めまして」


「どうも…」


「大樹です…」


「あとは神代さんだけですね!」


「そうね…」


「そうですね」


「そうだな…」


そんなに話す必要は無いだろう…目が物語っている。


当たり前だよな…僕たちは仲良く遊びに来た訳じゃない。


此処に『自殺』をしに来たんだから。


「「「…」」」


沈黙が辛い。


僕も何を話して良いか解らないので口を噤んでいた。


凄く気が重い。


全員がそう思っている事だろう。


『これから死ぬ人間同士何を話せば良いんだ』


気まずい雰囲気が流れるなか急に三人が僕の後ろを見て声をあげた。


「綺麗…凄い美少年」


「こんな所になんで…」


「何かのコスプレ」


後ろを振り向いた僕が見た者は…どう見ても、この場に場違いな美少年だった。


やや茶髪で天然パーマ掛った髪はその容姿に良く似合いまるで小説の王子様か貴族のように見える。


そして少し赤みがかかった瞳は見ていたら吸い込まれそうな位澄んでいて…なにより肌が白い…不健康的な白さじゃなく透き通る様な綺麗な肌と言うべきかな。


そして細マッチョというのか凄く恵まれた体型をしている。


ギリシャ神話の美少年…それが一番近いのかも知れない。


『どうみても場違い』にしか僕には思えない。


こんな人間がなんで『自殺』を考えるのか…解らない。


「神代です! 宜しく」


「「「…」」」


爽やかに話す彼に誰もが返事を返せなかった。


どう見ても彼が自殺をしようという人間に見えない。


僕たちとは逆の場所にいる人間。


勝ち組、バチェラ…そんな言葉が頭に浮かんだ。


しかも、乗ってきた車は僕でも解る高級ワゴン車エルドランだ。


自殺の原因を聞くのは駄目…それは暗黙の了解だ。


だから、気にはなったが何も聞けなかった。


「さぁ、乗ってよ…別荘でパーティするからさぁ…最後の晩餐を楽しもうぜ」


神代さんの進めるまま、僕たちは車に乗り込んだ。


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