第376話 因縁?

「ちっ、親父はなんであんな改造ババアがいいんだ! で、見つかったのか?」


父の健太郎頼まれて、健太郎の愛人の姪を捜索中の野村健二は愚痴を言いながら手下の報告を聞いていた。


なぜ愚痴を言いながらも大人しく言う事を聞いているかというと、薬や金を管理しているのは健太郎で、命令に従わなければ健二は何もできないからであった。


今報告を聞いている手下達も金と薬の力で従えている為、健太郎の言う事を聞いていなければ従えれないし、手下達も言う事を聞く事に疑問はない。

ただ、健二は手下達に自分を大きく見せようと反抗的な態度を取っているにすぎない。


今も昔も、父親の権力におんぶにだっこは変わっていなかった。


「なに、見つけたのか? どこに居た?」


先程まで愚痴を言っていたにも関わらず手下が目的の少女を見つけたと聞けば自ら行動を起こして手下と共に現場へ向かう。


健太郎に連れてくるだけで手を出すなと命令されているが、出向いて可愛ければ味見をするぐらいいいだろうなどと考えている。


目撃したのは新宿ではない為、慎重に動かなければ問題になるだろうが、人気のない場所でワンボックスカーで誘拐してしまえば問題ない。


幸い、身内はおらず、いや、その身内からの依頼である。

話によれば友達もいないそうだから簡単な仕事だろう。


手下に運転を任せ、他の手下が尾行する場所まで移動してきた。

尾行する手下を車に乗せると手下が指を差しながら話す。


「健二さん、あそこに居るのかターゲットの高楠翼です! ほら、写真と一緒でしょう?」


一番に見つけた手下には褒美をやると言ってあるので嬉々として手下は健二に報告した。


「どれどれ、な! アイツは!」


助手席に座る健二の顔が見る見るうちに鬼のように険しくなって行くのを見て、報告した手下はまずいことをしたかと顔を曇らせた。


しかし、健二の視線はターゲットの高楠翼の隣を歩く男を睨見つけるように注がれていた。


「春風黎人! クソ底辺冒険者が!」


健二は自分を豚箱に入れ、不味い飯を食わせた男の顔を忘れてはいなかった。


豚箱に入ったお陰で父と共に薬と魔石のバイヤーである黒い服の男に出会って今の立場があるのだがそんな事は関係ない。


豚箱に入らなければ政治家の父の下で今よりも裕福に好き勝手な人生を送れていたはずである。


「全員集めろ! 武装も使って後悔させながら殺してやる!」


以前とは違って魔石と薬の力がある。冒険者など取るに足らない。


健二は復讐の為に以前のように相手を甘く見る事なく、並の冒険者なら相手にならない程の戦力を集めるのであった。




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あとがき 


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