第372話 女の行動
「そんな、今月分の振り込みが無いじゃないか! 相当な額だったし危ない事でもしてたのかい?」
女は通帳の中を見てそう呟いた。
「これじゃ薬が買えない……まあ、金を稼ぐ方法なんて色々あるからね」
女はカードを抜き取ると銀行を後にした。
女は目的の場所へ向かう道中タクシーの中でメールを打つ。メッセージアプリではなくメールを使っているのはメールの相手が友達などではないから。
メッセージの内容は振り込みの催促で、姪の事をダシに困っているという内容出会った。
目的地についてタクシーを降りると女は急いで物陰に隠れる。
「ちっ、どういう事だい?」
女の目的の場所には警察がいた。別に追われているわけではないので隠れなくても良いのだが反射的に隠れてしまった。
何があったのかと木の影から覗いていると、通りすがりの人が声をかけてきた。
「あそこで薬物が見つかったそうよ。なんでも不良の一人暮らしで夜な夜な集まって薬をやってたとか。怖いわよね〜、警察に捕まったみたいだし被害がなくてよかったわ〜」
近所に住む住人なのか、聞きましないのに何が起こったのかを説明してくれた。
「そうなの。怖いわね……」
「そうよね〜、どうせまともな学校にも行ってないような子だったもの」
「知り合いだったの?」
「うちの子供に関わらないように言ってただけよ。愛想も悪いし見かける制服もダンジョン研修が受けられないで有名な学校の物だったし。まあ当然って感じよね〜」
その後も、近隣住民の女性は『たぶん』の話を話すだけ話すと満足した様子で「お買い物の途中だったわ」と言って笑顔で去って行った。
残された女は疲れた様子で舌打ちをした。
女は金の工面を姪にさせるつもりであった。
以前弟に薬を盛って金を吸い取ったように。
弟の時は簡単だった。離婚した事を後悔してずっと引きずっていたから過去を見る薬にのめり込むのも早かった。
まあ過剰摂取で死ぬほどのめり込むとは思ったつなかったけれど。
今回も依存性の強い薬を使って姪を薬に依存させてウリでもさせて金を搾り取るつもりであった。
女から見れば女性らしくもない体型だし表情も乏しい面白みのない子供だが、まだ16の子供というだけで金をだす変態はいる。
しかし既に薬に手を出して警察に捕まるようなバカをしているとは思わなかった。
底辺の学校に入れたから悪い虫でもついたのか、金をあまり与えなかったから先にウリでもはじめて客から勧められたのか。
なんにせよ金のあてが一つなくなったわけだ。
幸いまだ金に余裕はあるが節約する気は毛頭無い。
女は催促のメールの返信がない事を確認して舌打ちするとタクシーを呼んで乗り込んだ。
とりあえず、今の所は『パトロン』にでもおねだりするかとタクシーで移動しながら猫撫で声で電話をするのであった。
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あとがき
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