第20話 集合
世界ギルド日本支部。
黎人と火蓮は受付に声をかけるとあらかじめ用意された会議室へと移動する。
受付に声をかけた際に担当の受付には久々ですねと声をかけられ、周りがざわついていたのはご愛嬌だ。
担当してもらった受付に会議室へと案内され、受付は会議室の扉をノックし、中からの返事を待つと黎人と火蓮に「全員お揃いです」と声をかけて扉を開いた。
会議室には円卓に元黄昏の茶会のメンバーが座って待っていた。
2人が部屋に入るとバン!と机を叩いた音が会議室に響いた。
「待ってたで!レイ坊!」
音のした方を見ると机を叩いた反動で立ち上がったアロハシャツの男、酒井五郎が笑顔でそう叫んだ。
周りを見渡せば全員が笑顔では無く、3割は怒っているとまではいかないまでも少しむすっとしている。
円卓の中央の席を空けて上座から順に
サブリーダー
マリア・エヴァンス
キム・フウチェン
「いやー。全員勢揃いなんていつぶりだろうな?」
「黎人君、第一声がそれですか?」
黎人の言葉に張り詰めていた一部の空気がほぐれたのを感じる。顰めていた顔も苦笑に変わっている人が多い。
「黎人君、まずはおめでとうございます。
しかし、若い奥さんですね?まさかそんなに若いとは思いませんでした」
「ほんまやで!ええなー若い奥さん!どこで知りおうたんや?」
奈緒美の言葉に充希が被せる。やはりいつの時代も女性は恋バナが好きな様だ。
「本当だよ!黎にい不潔だ!ねー、いおちゃん!」
「ねーゆいちゃん!」
唯と伊音も乗っかりヒートアップする。
「いや、俺、結婚駄目になったぞ?コイツは弟子みたいな感じで面倒見てる火蓮な」
「柊火蓮です!よろしくお願いします!」
黎人が紹介すると火蓮は勢いよく頭を下げた。
それに対しての反応は無い。会議室は一瞬の静寂が包む。
「どう言う事だ?レイ坊結婚して冒険者やめるんじゃ無いのか⁈」
五郎のその言葉がきっかけになって黎人は質問攻めにあう。
それに対して黎人はプロポーズの日から今日迄の事を順番に話した。
勿論、めんどくさい事になりそうな冒険者免許剥奪やブラックリストに関しては飛ばして振られた話と火蓮を育ててきた事に関してがメインではなしたのだが。
話終わった時、会議室には盛大なため息が溢れた。
「その女、どこのどいつや!あたしが締めてきたるでちょっとまったりや!」
「みっちゃんはちょっと落ち着こうね。話がややこしくなるからね!」
立ちあがろうとする充希を隣の舞巳が腕を掴んで座らせる。しかしその笑顔は笑っておらず怖い。
「そ、それじゃ、今の黎人君はフリー!なら私にもチャンスが…」
「もっと大きい声で言わないとー伝わんないよー?奈緒美ー」
ゴニョゴニョと独り言を呟く奈緒美に芽衣亜が話しかけている。
それを聞いた奈緒美は恥ずかしそうに玲子の背中を叩き、玲子は「やめなさい、痛いですわ!」奈緒美の腕を掴んだ。
「なかなかカオスな事になってきたな。
それで、レイ坊。結婚が無くなったならまた冒険者に戻る気は無いのか?」
五郎の質問にかしましした雰囲気から一瞬で全員が真剣な眼差しで黎人をみた。
「戻る気は無いよ。もう一生分稼いだし、これからも不労所得で特段稼ぐ必要もない。
黎人は隣に立つ火蓮の頭をガシガシと撫でる。
「…そうか。まあお前が決めたなら仕方ないわな。だけどまさか俺よりも先に隠居生活とはな。出会ったころは俺よりランクも低くて駆け出しのペーペーだったのにいつの間にか俺より稼いで先に隠居とは!よし!今日はみんなで飲みに行くぞ!黎人の奢りだ!」
「ええ!」
「そりゃええは!ようさん食べたる!」
「いーねー!いつものとこでしょ?五郎ーボトル開けようぜー」
「それじゃ、私も冒険者休業したら黎人君と一緒に日本一周旅行…」
「なにぶつぶつ言ってますの?貴方、後輩の面倒見るのでしょう?」
「みんな、その前に火蓮の紹介をさせてくれ!
コイツはきっと
火蓮の紹介を簡単に済ませ。
元黄昏の茶会のメンバーはいつもの焼肉屋へと移動する。
火蓮はまだ借りてきた猫の様だが食事を通してだんだんと打ち解けていく。
その様子を見て黎人は冒険者になっても火蓮は上手くやっていけそうだと確信する。
楽しそうに騒ぐメンバーを見て黎人ゆっくりとグラスを傾けた。
少し時間は戻り、世界ギルドのロビー。
会議室から出てきた元黄昏の茶会を見た他の冒険者達は
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