第9話 週末のご褒美!女子会編

 とある居酒屋チェーン。その中でも少しおしゃれな居酒屋に仕事終わりの女子が3人集まっていた。


「それでは、香織の婚約をお祝いして、カンパーイ」


「「「乾杯ー!」」」


 半個室で高校時代から仲のいい3人は久々の集まりに盛りあがろうとしていた。


「しかし、香織と黎人くんも結婚かー。あんた達長かったもんね?」


 そう香織に質問したのは高校からの友達1 伊藤雫いとうしずく


「違うわよ。黎人とは別れたわ。彼はね、克樹さんって言うのよ。不安な私を励ましてくれて、将来についても安心できる素敵な人なの!」


「え?黎人くんじゃないの?私聞いてないわよ?私にも相談しておきながらいつ別れたのよ?」


「つい最近よ!」


「克樹さんを紹介したのは私!恋のキューピットだよー!」


 友達2ギルドの受付こと清水瑞稀しみずみずきも盛り上げる為合いの手を入れる


「黎人くん長かったのにね。確かに香織、将来の事考えてるか不安って言ってたし相談してみたら考えてくれてなかったんだ」


「さあ?聞いてないし。大学出たのに定職についてない時点でねえって感じじゃない?」


「え、結局聞かなかったの?」


「克樹さんとであっちゃったしねえ。

 将来のこと考えたらそりゃ克樹さんを選ぶわよ!国家公務員で安定してるし、デートも毎回いいとこ連れて行ってくれるし、優良物件頂きました!」


「もう、香織酔うのはやくない?」


「でも、最後のは笑ったわ!黎人君、プロポーズしようとしたレストランで振っちゃったんでしよ?将来の事考えずにカッコつけようとして振られたとか笑うー!」


 瑞稀がそう言ってケタケタと笑う。


「え?それって将来の事考えてたって事でしょう?香織、あんた二股かけてたの?」


「なーにが結婚よ。将来のこと考えてるってそしたらもうちょっとまともな仕事して貯金しなさいよ!デートも高校の時からそんなに変わらないし!いっつも最後は焼肉食べ放題よ!たまにお寿司とかだけど、大人なら大人のデートってのがあるでしょう!」


「えー?あんた高校の後半からはランドとかシーとか泊まりで連れてって貰ってたじゃない?大阪とか都外にも行ってたし?」


「それでも所詮高校生や大学生のデートだしねー?付き合って別れるまで食べ放題しか連れてもらった事ないし!」


「ええ…まあ、あんたがそれでいいなら良いんだけどさ?」


「いいのよ!それに今日は祝いの席なのよ?もっと楽しく飲みましょうよ?」


「そうね。黎人君には残念だけど香織が選んだんだものね…」


「そうだよー!もっお楽しく呑まないとー!」


 そうして香織の婚約の話だけでなく雫や瑞稀の近況についても話は盛り上がり、だいぶ酔いも回りお開きが近づいてきた頃の話。


「そー言えば今日黎人君ギルドに来たんだよー?」


「なんで?あんたんとこ地方でしょ?」


 瑞稀が面白い話あるよと話し出した内容に雫は疑問を唱えた。

 地方でしょ?とは地方ギルドでしょの事である。

 高校一年生から冒険者をしている黎人が今更地方ギルドに用があるわけないと思ったのだ。


「だってー、香織に振られた時に克樹さんに冒険者免許取り消されちゃったからさー。

 また1から取ろうとでもしたんじゃない?

 香織と克樹さんが定職に付けるようにしてくれたのにねー?

 1人じゃ不安だったのか高校生位のギャルまで引っ掛けてさ」


「え?どう言う事?香織、それって職権乱用じゃない?」


「大丈夫よ。克樹さん期待の星で昇給も決まってるらしいし、そう言う権限持ってるのよ!」


「ええー。…本当にそれ大丈夫なの?」


「だから私は親切にブラックリストに入れて冒険者免許とれないようにしてやったんよ!

 これでちゃんと就職活動するでしょ!」


「え、あんたも大丈夫なの?ねえ、2人とも酔いすぎじゃない?ねえ?」



 雫はお会計を割り勘でなんとか払い終わり、2人をタクシーに押し込んだ後、自分も帰りのタクシーに乗りながら思った。

(2人ともめちゃくちゃやりすぎ!犯罪とかじゃないのかなぁ)


 雫は2人と距離を置こうと思ったのだった



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