第7話 ある日のギルド2
世界ギルド日本支部サブマスター
下の人間には日常業務がある為、説得中だったはずの冒険者ゼロが急に引退した原因を一日中探っていた。しかし、どの時点で登録が消去されたかも分からない。
普通に考えたら、業務が交代になって人手が少なくなる5時以降だろうとは思うのだ。
しかし5時から夜間のデータの動きを探してもギルドで登録消去の案件は出てこない。
そもそも、ゼロほどの案件ならサブマスターである私か田中、
「神崎、原因はまだわからないかい?」
「ええ。そもそも私達に情報が来ないままゼロの登録がどうこうなる事がおかしいじゃない?」
「春風さんクラスにならなくてもここ世界クラスギルドで活動するほどの冒険者の引退なら連絡が無いのはおかしいからね」
「英?ゼロでしょ?活動中はその名前でと登録されているのだし。有名になってプライベートを害するのが嫌だからって」
「そうだったね。僕は君ほどゼロの案件に関わってこなかったからついね。黄昏の茶会は君の担当だったからね」
「サブマスターがそんなのでは困りますよ?」
「すまないね。しかしここまで何も出てこないとなると…ギルド外?
まさか国家ギルド?ゼロはそこまでして引退したかったのかな?」
「…その線もありますか?確かに国家ギルドとは別組織ですからこちらでは詳しく見れませんが…
明日確認に行ってきます。まだ定時前ですし、東京第一にアポだけ入れましょうか」
「本部なら国家であろうと地方であろうとダンジョン関連なら引き出せるんだろうけど、プライバシーって不便だな」
「こんな案件は普通ないんだからそれを考えれば個人情報って大事でしょう?
まあとりあえず、明日は直接第一に向かうわね。
進展してないけど今日の進捗具合をギルマスに報告してくるわ」
神崎は軽く伸びをするとギルドマスター室へ向かった。
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東京第3ギルド_____
「おう!相澤!お前、決めたらしいな!」
「あ、部長!その節はありがとうございました!部長のアドバイスのお陰で彼女を落とす事ができました!式にはスピーチもよろしくお願いします!」
俺、
以前後輩の紹介で知り合った彼女と見事ゴールインが決まったのだ。
当時は彼女には高校一年から付き合っている彼氏がいて、やんわりと断られていたのだが、職場で部長にのみに付き合わされたのが転機だった。
初めは飲みハラの様に行くのが嫌だったのだが酔った勢いで彼女の事を相談したのだ。
初めは部長の昔の武勇伝を聞かされる様でうんざりだったのだが、物は試しと部長の助言通りに押して見たのだ。
すると、彼女の反応が変わった。
後々に聞けば、彼氏との関係がマンネリしていたり、将来に不安を感じていたらしい。
どうやら大学を卒業しても学生の時の様にテーマパークやドライブデートをした後に焼肉の食べ放題だったそうだ。
大学を卒業したにも関わらず定職にもつかない。
そんな彼に不安があったそうだ。
そんな時に俺を紹介されたらしいが、1人の友達には不安があるなら彼にぶつけろとか将来の話をしろとか言われていたらしいが、それを彼に言う前に俺が押しに押したのだ!
俺を紹介したもう1人の友達は俺に乗り換える事に賛成だったから情報は手に入ったし。
何せその元彼は冒険者だったのだ。
俺はギルド職員だ。冒険者のデメリットも手に取るようにわかる。
メリットもわかるが伝える必要も無い。
将来性の無さをプレゼンし、夜景の見えるレストランなど大人なデートを演出した。
その甲斐あって、彼女は落ちたのだ。
来週からは結婚式場を決めに行ったり準備が始まる!幸せの絶頂だ!
「部長!今日は奢らせてもらいます!飲みに行きましょう!」
「それじゃあ未来の出世頭に惚気話でも聞かせてもらおうかな!」
部長にもお礼はしておかないとな!
気分が良い!後輩も誘って、今日は楽しい飲み会だ!
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