ゴブリンの集落(美味しい経験値)


 職業・剣士になった瞬間に一気に体の力が抜けるのを感じた。

 戦闘中なので、ステータス確認をしている暇はないが、おそらく見習い剣士として加算されていたステータスボーナスがリセットされたのであろう。

 まあ、でもレベルを上げていけばステータスも上がるから問題はなしだ。


 俺はゴブリンを斬り殺す。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 目についたゴブリンを片っ端から斬り殺していく。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】

【中位職業・剣士のlevelが1上昇しました】


 レベルが上昇して力が湧いてくる。


「素晴らしい。素晴らしい。実に素晴らしい。そうだこれこそが俺の求めていたものだ」


 俺の目の前に普通のゴブリンよりも大きなゴブリンが現れる。

 おそらくゴブリンの上位種、ライトノベル的にいえばホブゴブリンである。


 多少強そうだったが、経験値に飢えた俺にとっては普通のゴブリンよりも経験値をくれそうな美味しい得物だ。


「さっさと経験値になってしまえ」

 ホブゴブリンの首を切り裂こうとするが避けられてしまった。

 

 どうやら他のゴブリンよりも強いようだ。


 ホブゴブリンが攻撃を仕掛ける。

 当たれば致命傷確定、普通は避けるために後ろに下がるのがベストだろう。


 だが俺は敢えて前に進んだ。

 ホブゴブリンとの間を詰めて、腹を切り裂く。

 俺に攻撃は当たらなかった。


 攻撃は最大の防御とはよくいったものである。


 そのまま腹から頭にかけて切り裂いてホブゴブリンを殺した。


【ホブゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】

【中位職業・剣士のlevelが1上昇しました】

【levelが3になりました・職業スキル・スラッシュを獲得しました】


「よし、流石ホブゴブリンだな。さて、経験値を置いてけ~~~」

 切り裂いて、殺して、切り裂いて、殺して、切り裂いた。

 

 経験値を獲得してレベルが上がって強くなる。

 この事実が俺にMaxまで脳内麻薬を分泌させてくれる。

 楽しい笑い声をあげながらひたすらにゴブリン共を経験値としていった。


【ホブゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】

【中位職業・剣士のlevelが1上昇しました】

【levelが7になりました・職業スキル・ダブルスラッシュを獲得しました】


 気が付いたら俺はたった一人でゴブリンの集落を壊滅させていた。


「さてと、次の経験値を探しに行きますか。いやその前にステータス確認をするべきかな?あ、ホブゴブリンから回収した武器でも確認してみるか。ああ夢が広がるな。まあでも、この場所にもう用はないな」

 ゴブリンが壊滅したゴブリン集落に用はなかった、ゲームであればこっから楽しい楽しい戦利品漁りや宝箱解放等が始まるのだろうが、このゴブリンの集落を特にそういうのはなさそうだし(ゴブリンの家は戦闘中に破壊して確認済み)、めぼしい物(ホブゴブリンが持っていた武器等々)は戦闘中に回収した。

 真面目にもうこの集落に用はない。終わったステージだ。


「お、おい。待ってくれ。あんたは一体何者だ」

 イケメンにストップをかけられた。

 

「一体何者って言われても・・・今日冒険者になったばかりの新人冒険者?」


「いやいやいやいや。お前みたいな新人冒険者がいてたまるか」


「いや、そんなことを言われても事実だし・・・それより俺はもう行っていいかな?こんなところで時間を消費したくないのだが」


「ああ、引き止めて悪かったって違う。いや違くないけど、違う。ああ、もう信じられない物みたせいで語彙力が馬鹿になる」

 イケメンが乱心してやがる。別に俺そんなおかしいことはしてないと思うのだが・・・まあどうでもいいか。


「まあ、俺は行きますね」

 乱心してるイケメンを無視して次の経験値を探して俺は走るのだった。

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異世界でハクスラ生活 ダークネスソルト @yamzio

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