俺②
「なぁ、お前は今何回
単刀直入にそう聞いた。もちろん、誤魔化されるだろうとか、もしかしたら(あり得ないだろうが)勘違いだった可能性もあったし、だからそう聞く事にした。
(どんな反応すんのか見たかっただけなんだがなぁ……)
無反応なこいつかどんな
表情は崩さないのか、それとも顔にでるのか。
顔にでたとしてどんな顔をするのか、
(……見たかっただけなんだかなぁ……)
目の前の奴を見る。
「……ははっ」
笑う。笑ってしまう。
(穴空きそうだな……)
こっちを見てる。ただただまっすぐこっちを見てる。
(…………綺麗だな)
恐らく、てか絶対、場違いな感想。けどそう思った。思わずにはいられなかった。
(……目に力が宿るってーのは本当なんだな………………)
「馬っっっ鹿みてぇ!!!」
小声で言えてたかは分からない。でもどーでも良かった。
目の前の奴に言った言葉じゃないから。
俺自身に言った言葉だから。
(本当に何で気付かないんだよ……!)
こいつとは何度も会ってるはずなのに、全く気付かなかった自分に本当に腹が立つ。
何度も会った中でこいつの目に力があった事はない。
(人形のようだ、って言ってた奴は多かったし、俺もそう思ってた……けど……)
違う。違った。今のこいつを見てそれで思い返したのは、
『何だか屍のような子だったねぇ』
(あんたの言う通りだよ!!くそったれ!!!)
誰か俺を思っいっきり殴ってほしい。じゃないとこの怒りは収まりそうにない。
でもきっと、殴られても収まらない。収まらせちゃいけない。
そう強く思った。
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