わたし⑤

ここはソリテヤ国。

わたしが産まれる前はここら辺で一番大きな国、ソリテヤ大国だった。

色々あって、山脈を挟んだ所にあるスパーラル帝国と勝負して負けてしまった。

負けたらスパーラル帝国になるはずだった。

けど周辺の属国全部とソリテヤ大国を小さくすることで、ソリテヤ国として残った。

だから、ここの周りは全部スパーラル帝国。

山脈もスパーラル帝国の物になった。

そして今それを全部取り返して、帝国も手に入れようとしてる。



帝国に勝てたこと一回もないのに。



何回も見てるけど、スパーラル帝国はとっても強い。

魔術も武闘もどっちも得意で片方苦手でも得意な方をみがいてて、みんなみーんな強い。


でも、ご主人様たちは「帝国は卑怯な手を使って勝っている」


って言ってる。

わたしは武闘のことも分からないし、魔術のことはもっと分からないけど……それが間違ってることは分かる。

だって、スパーラル帝国の人たちはキラキラしてる。

魔術が楽しい、この武闘が好きってキラキラしてる。

わたしには全然分からないけれど……多分『誇り』っていうのもあるんじゃないかなぁ?


ソリテヤ国はそういうのじゃなくて……うまく言えないけど、ドロドロ?してる?

勝つぞって言うのはあるけど……なんか…………汚い?……暗い?……うん。分からないけどそんな感じ。

ソリテヤ国の人の中にもキラキラしてる人っているのかなぁ?

今まで見たことないけれど、






(いたらいいなぁ……まぁわたしが行ける所は少ないしなぁ、あ)






遠くに聞こえる鐘の音。


(ここまではいつもと同じことがちゃんとおこった。) 


オレンジ色になる空。


(でも今年は前の今年よりずっと早い。……だから)




「きっと大丈夫」




よし、今年を始めよう。
























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