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「こんなに暑いのに、
一台の
昨日に見た光景は――
都はまるで大きな囲炉裏のようであった。そして辺りの國々へと無数の火の粉を飛ばしていた。
「まったく風が吹かないと、
十、二十の童たちが、円状になってなにかを話しているらしい。
「あの中心には、だれかがいるのじゃろうが、ここからは見えもせん」
向こうから
それにしても、賊に囲まれることなく無事に都に入れるかどうか、きっとあの三人も不安でしかたがないことだろう。が、生きるためにはしようがない。生きようとしながら死んだほうが、死を待ちながら生きるより、いくぶんかは気が楽なのかもしれない。
この三人が対する牛車の向こうで、童たちが一斉に道へと飛びだした。
「あれは……なんとも元気なものですね」
荷を背負ったふたりは、なんのことだか分からずに、互いに顔を見合わせた。と同時に、その表情に苛立ちを浮かばせていることも認めあった。
「もう、見えなくなるほど遠くに行ってしまいましたねえ……ほんとうに元気なものです。途中で倒れてしまわなければいいのですが」
空には雲ひとつなくかんかんと陽が照っている。あの陽は、日に日に大きくなっているようにも思える。この陽にやられて、もう風というものは地上から姿を消してしまったのではなかろうか。
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