第6話 玄関の営みと ごちゃ混ぜの欲望
僕の事務所は渋谷にある。
マネージャーのタカに呼ばれて事務所に行くにしろ ホテルのバイトに行くにしろ 移動方法は電車と徒歩だ。
そして 僕が住んでいるのは23区を出て電車が最初に止まる駅で そこからマンションまではゆっくり歩っても10分程だ。
最近変わったのは コンビニにあまりよらなくなったことだ。理由は彼女と一緒に暮らすようになって ご飯を調達する必要がなくなったからだ。彼女が留守にする時は連絡をくれる。今日はメールも電話もなかったので 彼女が作る美味しいごはんにありつけるはずだ。
エントランスに着くとインターフォンで部屋番号を押す。応答を待たず鍵を差し込み自動ドアを開ける。エレベーターを降り 部屋の鍵も自分で開ける。インターフォンに反応して彼女は玄関まで慌てて出てきているはずだ。
ドアをあけると彼女の両腕が伸びてきて 僕の頭と肩を抱える。僕は彼女の腰に両腕をまわす。大体 ここまで毎日変わりないルーティンだ。この後は彼女の行動によって 僕は右往左往することになる。
例えば『お帰りなさい』と言って僕の頬を両手ではさみ鼻の頭を擦り付けて『ごはんできてるわよ』とニコニコしながらさっさとキッチンに行ってしまうこともある。ちょっと拍子抜けだ。音を立てて唇がつくだけのキスをして手を繋いで寝室までついてきて僕の着替えを手伝うこともある。玄関からもつれながらよろよろとリビングまで行って2人でソファーに座ってしまうことある。他愛の無いない話しをしながら一緒にキッチンに立つこともある。そんな時 僕が料理の盛り付けを任され
「すごく 美味しいそう!」
なんて言われればそれはそれでとても嬉しくて 疲れなんでどこかへ行ってしまう。
ただ きっかけはともあれ 寝室に行ったりソファー座ったりすれば そのまま2人共空腹を忘れて 別の欲を満たすことに没頭してしまうこともある。
そして 今日の彼女は 抱き合ったまま唇が僕の耳たぶに触れるくらいの距離で囁いた。
「お帰りなさい。冬二君。ねえ 舌 出して……」
期待に胸を膨らませながら 僕は言われた通り 思い切り舌を出す。彼女は僕の舌を見る。距離が近いので 彼女の瞳が鼻筋に向かってほんの少し寄る。可愛らしいなと思っていると 彼女は顔をもっと近づけ僕の舌を自分の口の中にゆっくりと取り込んでいく。
(ああ どうしたら良いんだろう……)
なんとも柔らかい。彼女の舌は僕の口の中に入ってきて僕の舌と密着し絡まり合う。初めて会った時から僕の舌は彼女の舌の虜だ。いつも出逢えるのを待ち焦がれている。また何も考えられなくなる。
彼女の片手が僕の背中に移動して シャツをズボンから引っ張り出す。シャツの下から彼女の手が入ってくる。そして背中をゆっくり移動する。触れる場所によって 思わず 声が漏れそうになり 足から力が抜けて 立っているのも難しく 僕はまたどうにもならない気持ちになる。
硬くなったペニスがお腹に当たるのを確認した彼女はキスをやめ 再び僕の耳元で囁く。
「冬二君 これ すごいね(笑)」
「彩絵さんのせいですよ……」
僕のスラックスのボタンを外し チャックを下げる。スラックスとボクサーショーツは僕の足元にストンと落ちる。期待と興奮が僕を支配する。彼女は片手でペニスを握り反対の手で僕のシャツのボタンを器用に外していく。そして僕の裸の胸を見る。
彼女の舌が僕の乳首に触れた。
「あっ……」
僕は格好悪い声を漏らす。彼女の唇と舌と手で僕は簡単に上り詰めていく。
「彩絵さん 僕 いっちゃいそうです……」
途端に僕のペニスは白く熱い液体を勢いよく吹き上げる。彼女の手の動きは僕の欲を全てを吐き出し切るまで止まらない。
「可愛い顔……」
彼女は僕の顔を見つめながら 左の頬にえくぼを作る。
彼女が着ているフーディトレーナーと床が 僕の精液で汚れていた。
「待ってて」
彼女はスリッパの音をたてて洗面所に消えていった。
僕はひとり玄関に取り残された。
(帰るなり 玄関で手でイカされたし……)
我に帰れば 僕の姿はあまりにも情け無い。彼女に脱がされたスラックスとボクサーショーツで足元も見えない。スニーカーを脱ぎ 玄関から一歩上がろうとして スラックスが足に絡まりつんのめりそうになった。
(なんて事だ……)
僕は苦笑しながらそれを脱いだ。
トレーナーと半ズボンに着替えた彼女が 暖かいタオルを持って戻ってきた。少し下を向いたペニスを優しく拭いてくれる。
「冬二くんも着替えてきて。ご飯にしよ」
はだけたシャツと下半身裸でトートバッグを肩にかけ スラックスとボクサーショーツを丸めて抱える。床に飛び散る精液を拭く彼女の横を 僕はこそこそと通り抜け寝室に向かう。
彼が通り過ぎたあと 私は床を拭く手を止め そっと振り返る。
(ほんとに 可愛いおしり……)
夕食を半分程食べた頃 彼女が話しかける。
「お願いがあるの」
もぐもぐしているのも可愛いなと思いつつ 僕はなるべくそっけない顔をする。
「何ですか……(笑) 」
結局 笑ってしまった。
「私もいきたい……」
「は?」
言っていることがよくわからない。
「だって 冬二くんばっかり気持ち良くてずるい。私も……」
そういうことですか。僕は風より早くテーブルの下に潜り込み彼女のお腹と向き合う。
「彩絵さん ちょっと腰上げて」
半ズボンを脱がせると何も履いていない。
いつのまにか自然に出来た2人だけのルール。
『部屋着は一枚』
人に話したら呆れられそうだ。さっきまでフーディトレーナーの下は多分パンティを履いたはずだ。半ズボンに着替える時にそれを脱いだのだろう。そんなルールに囚われてくれることがとりあえず可愛いと思う。
そしてこのくだらないルールはこういう時のためにあると僕は実感する。
「彩絵さん 足広げて」
僕は彼女の状況を確認する。食事中に一体どうするとこんなになるのか。僕の可愛い彼女は食欲も性欲もごちゃ混ぜだ。
「彩絵さん ぐしょぐしょですよ… …」
僕はわざと言葉にして人差し指と中指をそっと差し込む。充血して立ち上がった可愛らしいクリトリスを尖らせた舌先で刺激し続ける。
「あっ……だめ」
更に唇をすぼめて吸い付いてあげる。
「いや!あっ……」
彼女の腰が浮いて太ももが震えながら僕の頭を挟み込んだ。
(もう いっちゃいましたか。全く 可愛いな……お陰でまた僕も元気になってきちゃいました。どうしてくれるんですか(笑))
僕は仕方なく使っていない方の手でペニスを握った。
「ねえ 冬二くん……いや……もっとして……」
(一体 どっちなんだ! (笑) )
その声で僕に火がつく。
僕はテーブルの下から抜け出し 彼女を後ろから抱えて立ち上がらせ テーブルに手をつかせる。
「大丈夫 やめません」
両手で彼女の腰をつかみペニスを挿れた。優しくしたいと思いつつどうしても腰の動きが激しくなってしまう。
「冬至君……いい。すごくいい……っどうしよう」
彼女の腰が僕の腰と一緒に動き始める。
「うわっ! 待って 彩絵さんダメですって そんなに動いたらだめ……」
僕は逝きたくて腰を彼女にさらに密着させる。
「あ……いっちゃう……」
再び到達したのは彼女だった。彼女の膣が僕のペニスを締め付ける。
僕はひたすら我慢する。そして腰を動かし続ける。彼女が何度でも上り詰められるように。
困った。僕は彼女が愛おしくてたまらない。
continue
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