第9話 完璧よなんで完璧なんですか!

 友梨が一度帰宅してから6時間後。楓花の家にまた友梨が来訪していた。


 テーブルに並んでいたのは、塊肉を煮込んだビーフシチュー。なぜか煮込むのに5時間かけたと。物理的に不思議である。そしてスモークサーモンのサラダ、フランスパンやチーズが並ぶ。上等な赤ワインとグラスも二つ並べられていた。


「わ。・・・わぁ。。」

「すごい、、これ、私が居ない間に一人で・・・?」


「こ、このくらい簡単なものよ。」

(うそです。友梨が帰ってから走ってスーパーに行って頑張りました。)


「うわぁ。。いただきます♡」


「カワイイ。スキ。」

「このあと、新作の映画を借りてあるから二人で観ましょう?」


 話題のど甘い恋愛映画だ。恋人同士で観るには最高の雰囲気作りになる。


「あ、ありがとうございます。なんか、、こんなに幸せで良いのかな?」


「そ、そう?なら良かったわ?」


 ここから、楓花は初めて彼女ができた大学生男子のような思考を発揮することになる。


 食事を終えて、赤ワインとチーズをつまみながら、二人はラブチェアに隣り合って映画を鑑賞した。30分が過ぎた頃、、映画はキスシーンから濡れ場が多くなり始める。


 友梨はちょっと気まずかった。昨日の楓花を思い出して顔が赤くなる。(かわいかったな、先輩。あんな風に声を我慢して、、)なんて思っていると、ふっと視界に影が差したのに気づいた。振り向くと楓花の顔がすぐそこに迫っていた。


「ん。うう?んんむ?」


 びっくりするくらい突然に、友梨は楓花にキスをされたのだ。


「ぷぁっ!?せ、せんぱい?!」


 6時間の妄想をしたばかりの女は止まれなかった。友梨の顔を両手でホールドして、キスは濃厚なものへと変わっていった。そう、昨日の夜からスイッチは入りっぱなしなのである。


「ひゃっ、な、なんでっ?え、え、」


 と戸惑いつつ、友梨は楓花にされるままになる。正直に言うと、友梨は自分も楓花に抱かれる時が来るのを望んでいたが、まさかこんなに早く突然にやってくるとは思ってもいなかった。


「あっ!あ?・・・えあ?! ああっ!(歓喜)」


 もうこの二人は24時間まわりっぱなしの歓喜扇。

 3本借りられてきた映画のDVDは、この日もう観られることはなかった。


「?♡ !?♡ ??!!♡♡」



 自称28歳、会社員女性の頭が性で溢れた男子が素性である楓花に友梨がベッドに連れられていったのはそれからすぐだった。



(え?え?ええ?・・・なんで、こんなに・・・上手いの??!!)


 友梨は困惑していたが、6時間の間になにが楓花をそうさせたのかは知らない。


 ネットだよ♡

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