第8話 帰って!戻ってきて!
初めての夜、二人はなんだかんだと朝方に寝たので、翌日起きたのは昼前であった。約束通り(?)、昼食は出前で寿司を取った。
楓花は「お寿司でお祝いよ。」と思っていた。友梨は「本当にお寿司食べたかったんだ。。」と思っていた。
二人で対面してテーブルを囲み、楓花が作ったすまし汁と共に上等な寿司を食べていると、友梨がいつからか楓花を嬉しそうに見つめていた。
「な、なに?」
「あ、いや。すみません。こうして楓花さんの部屋で二人でいるなって思うと、嬉しくって。」
ニヤニヤしているのを隠しきれずに、両手で口を隠して頬を赤らめる友梨。
(かっ!か、っわいい~!!!!かわいい!かわいいっ!!)
脳内で楓花は「メルト!」と叫んだ。溶けるときのドラクエの呪文のようなものらしい。誤って自分にかけてしまった。仕方ない。昨日はパルプンテが起きたのだから。
しばらくして、昼食を終えて二人でお茶を飲んでいると、友梨がそろそろ帰りますと言いだした。
「長居してもお邪魔だと思うので、そろそろ失礼しますね?先輩、すごく素敵な嬉しい一日でした。ありがとうございます。」
楓花はと言うと、、
(めちゃくちゃ離れたくない。。もっと居てくれたら良いのに。。)
「ね。今日も泊まっていけば?」
「え?で、でもそれでは楓花さんがゆっくりできないだろうし、あと私も着替えが・・・。」
「な、なら。一度帰って着替えてらっしゃいよ。会社に行く服も持ってくれば?」
「そ、それは、、土日一緒に居て月曜もここから会社へってことですか?」
「そうよ?なにかおかしいこと言ってるかしら?」
(おかしいこと言ってるから!)と自分にツッコんでいた。
「いえ、、いいんですか?」
「良いから言ってるのよ。ふ、二人でいてみないとお互いわからないでしょ?」
(そ、そんな風に真剣に考えてくれてるの?先輩、、真面目すぎ、、いや、先輩らしいか。)
「じゃ、じゃあ、そうさせていただきます。」
「夕方戻ってらっしゃいよ。夕飯と映画でも借りてきて待ってるわ。」
「ええ!?(歓喜)」
「わかりました!そうします!♡」
「カワイイ、、」
かくして、一度友梨は自宅へ戻り、また夕方楓花の家に来ることになった。これは楓花にとって得るべき貴重な時間を得られた瞬間だった。
楓花は豪華な夕飯を自炊する時間と、甘い恋愛映画をチョイスする時間、そして「女同士のエッチの仕方」と検索する時間を手に入れたのだった。
もう、この恋は手放せない。
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