第4話 良いんですか?良いとは言ってないわよ!
友梨視点
恐ろしい光景が繰り広げられた。
会社の先輩である女性、しかも恋の相手の部屋にいるのに、後輩である私と二人、会話もせずただお酒のグラスに口をつけて飲み続けているフリをする時間が、、早、30分を経過していた。
沈黙、キツいわ・・・。どうしよう、、先輩、、優しいからはっきり断れなかったとして、それであんな風に??
「あ、あの?」
「は!?*+んzななに?!」
「このままだと、先輩きっと休まらないですよね? 私、今日は帰ります。」
「済みません、こんな空気にしてしまって。でも本当に私は好きなので・・・。」
そう言って、グラスを飲み干すと、ごちそうさまでしたと言って友梨は立ち上がろうとした。
「ま、待ちなさい。」
「え、」
「泊まっていきなさい。もう遅いから。」
「いやでもそれじゃ、先輩が。」
「構わないわ。泊まっていきなさい。」
「・・・でも先輩、、私は先輩が好きなんですよ?泊まるって友達同士の感覚ではないんです。意味、わかりますか?」
「だ、だから、好きなら泊まれば良いじゃない。わ、私を好きにさせたいんでしょ?」
「あ、あのう、、」
「な、なに?」
「少しでも私、可能性ってありますか?」
おずおずと先輩に聞いてみた。すると、
「はっ?そういう話じゃないでしょ!?」
「あ、すみません。ごめんなさい。あのやっぱり私帰ります!」
「だから待ちなさいよ!」
「え、でも先輩。ベッドだって一つだし、、」
「あ!そうだった!まずいいやまずいのかいやまずくはないかまずい!」
「・・・・い、一緒に寝れば良いわよ。。」
ん?
んん?
「じゃ、じゃあ、そうします。。」
「う、うん。///」
「あ!あの、私全く準備とかしていないので、着替えとかも・・・。」
「わ、私のを貸すから、大丈夫よ。。パジャマも歯ブラシも、化粧水もあるから、、」
「あ、はい。すみません、お借りします。」
「う、うん。///」
んん?
「じゃ、シャワーでも浴びてきたら?」
「あ、はい。それでは、お借りします。」
なんか、入社したての頃よりかしこまった感じになってるんだが。
というわけで、お互いにシャワーを浴びて寝る準備を済ませた二人。今は二人でベッドの前に立ち尽くしていた。
「じゃ、どうぞ。」
「あ、はい。お邪魔いたします。」
そんな感じでカチコチに二人、恐る恐る同じベッドへと体を横たわらせた。
内心、こりゃどうしたら良いのだ?と友梨は困惑していた。ついお酒の勢いで家に押しかけ、告白してみたはいいけど、なんていうかはっきりしないどころかぐだぐだのまま雰囲気は初夜だ。ウケる。笑
いや、笑ってる場合じゃないぞ。
「あ、あの、、先輩?」
「な、なに?」
「私ね、先輩のこと本当に好きで。でも今日は伝えられただけで満足ですので、、というか。あの、なにかしたりしませんから安心してくださいって言いたくて。。」
「な、なにもしないの?あ!」
「ちがう。ちがくない。えーと、とりあえず、ほ、保留ってことで。私も貴方の気持ちに応えられるかちゃんと考える時間が必要なの。さ、寝るわよ。」
「あ、はい。あの。ありがとうございます、すぐ拒否なさらないのってその、先輩優しいからですよね?でもあの、本当に私、ご迷惑ならちゃんと言ってくださいね?」
「め、迷惑じゃないって、ば。。」
「す、好きでいるのはダメじゃないですか?」
「ダメじゃないって言ってるじゃないの!」
「良いんですか?」
「良いとは言ってないわよ!」
「あ、」しゅん。。
「手!手を繋いで寝るくらいなら!」
「ん?」
そういう話でしたっけ今?
「手を、繋いで寝ても良いんですか?」
「良いって言ってないわよ!繋ぎたいならよ!」
「あ。ええと、繋ぎたいです。」
「じゃあほら。握ったら良いわよ。」
「あとなにかしたいことは、あ、ある?」
「え?」
「・・・・え、えーと?じゃ、じゃあ、もう少し近くで寝ても?」
「そ、そのくらいなら良いわよ。」
ん?
「あ、じゃあ、ええと、失礼します。」
ぴと。
仰向けで顔だけを背けている先輩の体に、横になってくっついてみた。
先輩の体がぴくんと跳ねたあと、「あああああ」と小さな声で聞こえた。
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