第10話 ボスモンスターまでGO!
その後も何度か地竜系のモンスターに遭遇し戦いを行うことになった。
初めは練習のためと様々な戦い方を試していた一果だったが、そこでとある事実に気付く。
「あれ、もしかしてこれ間に合わない?」
「きゅぴ?」
ダンジョン内は外と同じ時間が流れる。
この高尾ダンジョンは一応22時までに出入り口まで戻ってくることがルールとなる。
それを過ぎると捜索隊が派遣されることになっているのだ。
『お気づきになられましたか』『このペースだと無理かも』『なんだろう急いで貰ってもいいですか?』『ペース上げないとな』
出てきたモンスター全員と戦っていた一果たちだったが、タイムアップ……何より生理現象が怖いので先を急ぐことにした。
「ここからは先を急ごうと思うんだけど……」
『うん、それがいいね』『地竜との戦いも飽きてきたところだ』『だんだん効率よく倒せるようになるの面白かった』『楽勝だったしな』『ワームが地竜を倒している姿に驚かなくなった自分に驚いたんすよね』
「だってさテフテフ」
「きゅぴ?」
「みんなキミがもっと強いモンスターと戦うところが見たいって。どうする?」
「きゅっぴー!」
短い前足でファイティングポーズを取るテフテフ。
連戦だったがまだ疲れは知らないようだ。
『かわいい』『いっちょまえにやる気やな』『きゅぴぴ』
「うん。強い敵と戦い続けた甲斐あって身体も強くなってきたみたいだし……なによりガッツが凄い。それじゃあさっさとボスのところまで向かおうか」
『とはいえどうするつもりだ?』『お姉さんがダッシュ?』『車出そうか?』
「ん~と。あ、いたいた」
顔を上げ空を見回した一果は目的のものを見つけた。先ほどから空を旋回しこちらの様子を窺っていたワイバーンだ。
「テフテフ、【弾力糸】をあのワイバーンに!」
「きゅっぴー!」
ドピュと白い糸が伸び、直線上になってワイバーンの腹部に命中する。
「ギャオス!?」
「よし命中。でもこのままだと空中に引き摺られるからその前に……あの太い木に糸を巻き付けよう」
「きゅっぴー」
ゴムのような性質を持つ【弾力糸】でワイバーンと木を繋ぐテフテフ。
『おお!』『器用やね~』『これはまさか……』
慌てたワイバーンはこの場から逃げようと飛行する。ゴムの性質を持つ弾力糸はぐんぐん伸びていって……やがて限界に達する。ワイバーンが力を緩めた瞬間……。
伸びきったゴムが縮むときの力で一気に木の方……地上へと引き寄せられ叩きつけられるワイバーン。
「きゅっぴ!」
「見事!」
『すげぇ!』『痛そう』『やはりゴムは最強♡』『気をつけろワイバーン無傷だぞ』
「ギャオオオオス」
地面に叩きつけられたワイバーンだったが殆どダメージは無かったようで、怒りを露わに立ち上がる。
だが敵の反撃を待つつもりはない。
「――【傀儡糸】」
「きゅっぴー」
今までとは違い、目に見えないほどの細い糸が数本放たれた。その糸たちがワイバーンの身体に触れると……。
「ぎゃおおおお……ぎゃす」
『ワイバーンが大人しくなったぞ』『一体何が』『待って傀儡糸って待って』『もしかして……』
「お察しの通り。【傀儡糸】は糸を取り付けたモンスターを意のままに操る技だよ」
「きゅっぴ」
「ぎゅっび」
テフテフの動作に合わせてワイバーンも鳴いた。
「一応使用者の知能以下のモンスターにしか使えないんだけどね。効かない相手も多いし。さて、これで一気にボスのところまで飛んでいこう!」
『おいおいマジかw』『チート過ぎるだろww』『これからワーム見かけたら気をつけるわ』『お前は知能がワーム以下なのかw』『IQ100行ってないZE☆』『ってかお姉さんは一体どうやってこんな技を教えられるようになったん?』
「ん~教えてあげてもいいけど……チャンネル登録者が増えたら考えようかな? チラッ」
『おっけ』『登録した』『楽しみにしてる』『テイマー支援動画だけで食ってけそう』『ってかぶっちゃけこの人に直接教わりたいわ』
「おお、チャンネル登録ありがとう~そうだね。私が知っててみんなが知らないことって多いみたいだから、今度解説動画とか出してみたいな」
『絶対伸びるから出して』『見る!』『正直歴史変わりそうよね』
「それじゃボスのところへ行こう。テフテフ、乗るよ」
テフテフの傀儡と化したワイバーンに跨がる。
「ワイバーンの飛行操作できそう?」
「きゅっぴ!」
「そう。今のうちに練習しておいた方がいいしね」
「きゅっぴ?」
「それじゃ、行こう!」
「きゅっぴー」
テフテフの操作によって、ワイバーンが飛翔した。
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いつもお読みいただきありがとうございます。
今のペースだと応募中のコンテストに間に合わなそうなので、明日から1日2話ずつ投稿になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
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