本屋を出て駅に向かおうと歩き出した時、本屋があるビルの目の前のカラオケ屋の前にたむろしている高校生を発見した。


 よく見なくてもわかる。あの制服……うちの学校、しかもクラスのやつだ!そういえば今日カラオケに行くとかなんとか言ってたような。俺の中の陰キャレーダーが素早く危険を察知する。


 てかなんでわざわざ電車乗ってこの駅のカラオケ?!


 学校の近くにあるじゃん……。と心の中で毒にもならないような毒を吐いて、なるべく近寄らないように速足で歩く。今日は制服じゃなくてバイト先の軽装だから、見つかることはまずないだろう。というか、見つかったって「あれ誰だっけ、クラスにいる人だよね」くらいの感覚なんだろうけど。


 近くを歩いていたサラリーマンの陰に隠れるように歩く。すれ違うとき、俺は横目で彼等を見た。やっぱりクラスの陽キャたちだ。

 数名の男子と、明るくてうるさい女子たち。その横で笑ってる白石椎名もいた。


 ―――なんだかギラギラして、全員が発光してるみたいだなと思った。


 ―――こいつら、どうしてこんなに眩しいんだろう。



 さっと横を通り過ぎて盾になってくれたサラリーマンに心の中で感謝し、電車に乗り込んで息を吐いた。スマホを確認して明日のバイトの予定を書き込む。他の予定といえば、森川とモンハンの狩りに行くくらいだ。


 なんもねえなあ。


 柄にもなく、そんなことを考えた。





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