第8話

「フフン♪フン♪」



令菜は、唯と時間を一緒に過ごせることがうれしくて、小さな踊りのように足を踏み鳴らしながら、荷物を置いた。



思わず口ずさんでしまった鼻歌も、唯の部屋で響けば、より一層華やかに聞こえるだろう。



令菜は、唯の部屋で、いつものようにたくさん笑い、たくさん話し、たくさん学ぶことができると思うと、ますます心が弾んでいった。



「唯の部屋に行く前にシャワー浴びなきゃ」



令菜は心地よい湯気が立ち込めるシャワールームに入り、体に貼りついた汗を流れ落とす。



肌に触れる水滴の感触が心地よかった。



令菜はシャワーを浴びた後、タオルで体を丁寧に拭く。



用意しておいたワンピースを取り出し、身に纏う。



今日は唯と過ごすため、普段よりも少し派手めなワンピースを選んでみた。



ピンクと白のストライプ柄で、キュートな雰囲気が漂っている。



「うん!  いい感じ♪」



令菜は満足そうに微笑んで、ワンピースの裾をふんわりと揺らす。









令菜は自分の部屋を出て、廊下を歩きながら隣の棟へ向かった。



A棟には、エントランスを抜けて中庭を通って向かうことができる。



令菜は中庭に射す夕方の陽射しを浴びながら、A棟に向かって歩いていた。



夕方の中庭は、柔らかな日差しが差し込み、木々の緑がやわらかな光に包まれている。風に吹かれる葉の音が、まるで自然の音楽のように響いていた。



目を閉じて深呼吸をし、自然の中に身を置いたかのような気持ちになる。やがて、中庭を抜けると、A棟のエントランスに辿り着いた。



令菜は心地よい風に吹かれながら、エントランスから階段を上って、唯の部屋の前に着く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る