第6話

令菜と唯は美術部の部室に入ると、女性が一人絵を描いていた。



彼女は静かに絵筆を動かし、細やかなタッチでキャンバスに色彩を加えていた。



二人が入ってくる音に気づくと、彼女は振り返って微笑む。



「こんにちは」



「こんにちは、私は朝倉唯といいます。そして、彼女は望月令菜です。美術部に入部したいと思って来ました」と唯が言った。



「私は部長の花村みさきです。美術部では、いろいろな作品を制作しています。あなたたちもぜひ、自分たちの感性を生かして作品を作ってください」



「ありがとうございます、楽しみにしています」と唯が笑顔で答えた。



部長は嬉しそうに唯と令菜を見つめながら、「二人はどのような作品が好きなの?」と尋ねた。



唯は迷わずに「水彩画が好きです。柔らかくて優しい色使いが心を癒やしてくれるから」と答えた。



一方、令菜は考え込んでから



「実は、私、美術についてはまだよくわからないんです。でも、何か新しいことに挑戦してみたい気持ちはあります」と説明した。



「美術は、自分自身の感性を表現する素晴らしい手段のひとつよ。ぜひ、自分が興味を持ったものを描いてみて。それが自分の中で新しい扉を開くきっかけになるかもしれません」



令菜は、部長の言葉に救われるような気持ちになった。美術部に入ることが決まってから、自分が何を描けばいいのか、何を表現すればいいのか、と不安に感じていたが、部長の言葉で心が軽くなった。



「ありがとうございます。私、頑張ります」と令菜は微笑んで言った。



「それではまず、入部希望届を書いていただけますか?」



部長は、二人に入部希望届を書くための紙とペンを差し出した。



「こちらが入部希望届です。自分の名前を書いて、それから今までに描いたことがあれば簡単に記入してください」



二人は希望届に記入し、部長に手渡した。部長は届を受け取り、にっこりと微笑んだ。



「ありがとうございます。入部が承認されるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、心配しないでくださいね。私たちはあなたたちを歓迎します」



「ようこそ、美術部へ!」



令菜と唯は嬉しそうに笑い合い、美術部での活動が待ち遠しい気持ちを共有した。



「これから、美術部での活動について詳しく説明しますね。まずは、制作する作品のジャンルやテーマなどを決めて、その後に各自が作品を制作します。作品が完成したら、展示会を開催して、作品を発表します。また、地元の美術展にも出展しています。あなたたちもぜひ、積極的に参加してください」



「あと、美術部では、部員同士が協力し合って作品を制作することもあります。一人で作品を制作することも大切ですが、仲間と力を合わせることで、素晴らしい作品ができることもありますよ」



「展示会って、どうやって開催するのですか?」と令菜が尋ねた。



「そうですね、展示会は学校の文化祭の時に開催することが多いです。」



「実際に作品を制作する時は、どうやって進めればいいですか?」と令菜が質問した。



「作品を制作する際には、自由な発想が大切です。まずは、自分が描きたいもの、表現したいものを見つけて、それを描いてみましょう。それから、先輩たちの作品を見たり、アドバイスを受けたりすることで洗練させていくのです」と部長が答えた。



「でも、どうやって自分が描きたいものを見つけたらいいのですか?」と唯が不安そうに尋ねた。


「それは、自分自身が好きなものや興味を持っているものを見つけることが大切です。たとえば、自然風景や動物、人物像など、何でもいいのです。あなたたちが興味を持ったものを描くことで、自分自身の世界観が広がりますよ」と部長が説明した。



二人は部長の話を熱心に聞き入っていた。時が過ぎるのも忘れて、一心不乱に耳を傾けていた。



時間が経つにつれ、窓から差し込む陽光が徐々に移り変わっていくのを見て、二人は時の経過に気づいた。



「もうこんな時間!、話しすぎちゃいましたね」と部長がつぶやく



「とても充実した時間でした。ありがとうございます!」



二人は部長に感謝しながら、部室を後にした。

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