第3話

食事を終えた唯と令菜は、桜蓮学園の寮である「桜樹寮おうじゅりょう」に向かって歩いていた。唯はA棟、令菜はB棟に住んでいるため、途中で二人は別れる。



「じゃあ、また明日ね。」と唯が微笑んで言うと、令菜もにっこりと笑って頷いた。



「うん、また明日。」



唯は令菜の手を取って優しく握りしめた。



令菜は唯に手を握られた瞬間、その手がとても温かくて華奢な印象を受けた。



指先には唯の柔らかな肌触りが感じられ、令菜はその感触に酔いしれるように手を握り返した。



令菜は部屋に着き机に荷物を置くと、思わず唯との食事のことを思い出した。



手を握られた瞬間の感触がまだ残っている。



「ただ一緒に食事しただけだから。それ以上のことじゃない。」



しかし、胸の高鳴りを止めることができなかった。



令菜はベッドに寝そべった。



入学式の疲れがたまっていたのか、令菜はすぐに眠り込んでしまった。



令菜は深い眠りにつき、夢の中に入る。











そこは美しい花々が咲き誇る、広大な花畑のような場所。



令菜はその中を歩いていくと、唯が微笑んで立っているのを見つけた。



唯は白いドレスを着て、令菜を見つけるとにっこりと微笑む。



「令菜、こんなに美しい場所で、私たちが出会えるなんて、不思議だね。」



令菜は嬉しそうに微笑み返した。



「うん、不思議だけど、とても嬉しい。」



唯は更に微笑みを深める。



令菜は心が満たされ、幸福感に包まれていた。











令菜は目を覚ますと時刻は20時を過ぎていた。



「疲れてたのかな。寝すぎちゃった。」



まだ夢の美しい景色が脳裏に焼き付いている。



幸福感に包まれたあの夢は、彼女にとって何か特別な意味を持っているように感じられ、「あの夢は唯との食事の後に感じた幸せな気持ちの表れなのかな」と令菜は心の中で考えた。



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