争うなんてさせません!
「……
「のじゃのじゃ。こんなに早く来るとは思っていなかったのじゃ。しかし、来てしまったものは仕方がないのじゃじゃ」
「そう。こんなに早いとは思わなかった。しかし、しょせん、これが
「のじゃのじゃ。わらわの日記によればこれが一八二一回目の戦いなのじゃ。いままでに二度、わらわの方が勝ち越しているのじゃ。わらわの方が強いのじゃ。だから、今回もわらわが勝つのじゃ」
「ちょ、ちょっとまってください!」
フェンリルとフェニックス。陸と空の覇者の会話に――。
カティがあわてて止めに入った。
「いきなり、なにを
「そ、そうだよ、戦うとかなんとか。なんで、あんたたちが戦わなきゃならないのさ」
グリフォンもあわてて口を挟んだ。かつて、両方から仲間はずれにされたことがあるとあって、両者を恨んでいたグリフォンだが、もともとが情に
「仕方ないのじゃ。
「
「な、なんですか、それ⁉ なんで、
「誰が女王さまだ⁉」
「ワガママ幼女はよけいなのじゃ!」
すっかりクセになっていた証だろうか。世界の命運を懸けた戦いをはじめようとしていたというのに、カティに向かってそろってツッコむフェンリルとフェニックスだった。
漫才モードに突入した陸と空の覇者にかわって、海の覇者たるリヴァイアサンが――かの
「仕方ないのよねえ。リヴァさんたち四神はそれぞれの役割をもたされているから」
「役割?」
「そう。フニちゃんは世界を守り、竜ちゃんはその世界を育て、フッちゃんが滅ぼす。そして、リヴァさんがその滅びのなかから新しい世界を生み出す。そうやって、この世界は滅びと再生をつづけてきたの。とくに、フッちゃんとフニちゃんは特別で、この二柱の戦いの結果によっていまある世界の命運が決まるの。フッちゃんが勝てば世界は滅び、新しく再生し、フニちゃんが勝てばそのまま維持される。そういうこと」
「そんな! 世界が滅んだらチーズが食べられなくなっちゃいます! フッちゃんさんも、フニちゃんも、おいしいチーズが食べられなくなってもいいんですか⁉」
「よくはない」
「のじゃのじゃ。カティの作るチーズが食べられなくなるのは悲しいのじゃ」
フェンリルが言うと、フェニックスも愛らしい幼女の顔を
「だったら!
「そうだよ、そんな必要ないだろ! もし、どうしても戦うって言うなら、力ずくでもとめてみせるからな!」
カティの叫びにグリフォンの声が重なった。そんなグリフォンにフェニックスがあきれたように答えた。
「のじゃのじゃ。いままで一〇〇回以上わらわたちと戦って一度も勝てていないおぬしが、どうやってわらわたちを力ずくでとめると言うのじゃ?」
「う、うるさい! とにかく、とめるって言ったら絶対ぜったいとめるんだ!」
もはや単なる
「仕方がないのだ」
フェンリルが『女王さま』と言われるにふさわしい
「
「あたしは逆らいます!」
キッパリと――。
なんの迷いもなくカティは断言した。
「神さまだがなんだか知りませんが、あたしの大切なチーズ姉妹を戦わせるなんて、そんなの許しません! 神さまに
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