第8話 景虎、怒られるⅡ
なぜだろう、僕変なことを言っただろうか。ギャルゲーは、ノベルゲームとほぼ同じ意味である。まぁ、少しラノベとは違う気がするが、ほぼ一緒ではないか。
「同じですよ」
いろいろ考えてみたもののやはり同じであるのは明らかであることに変わりはない。何故だか、ラノベ読書ボッチの彼女も怒りを通り越して、憐れみで見ていることは気になるところである。
「臼井君、まずラノベをたくさん読みなさい。分かった」
「はぁ、でも僕には、何を呼んでいいのかさっぱりです」
「分かったわ。次の土曜日、暇?」
「特に用事は、ありませんけど」
「じゃあ、土曜日。駅前に十時に集合ね。これ、私のメアド。私はもう帰る」
「えっ、はい」
なんか、いろいろと勝手に決められて同意してしまった。当の結城さんは、すたすたとすでに帰ってしまった。そんなファミレスに残された男二人。
「信長君、何で結城さんは怒っているのでしょう」
「いや、それはな・・・。例えば、ゲームまだ一時間ぐらいしかしてないやつに、俺ゲーム作るわって言われたらどう思う」
ゲームほぼしてないのにゲームを作ろうとするのは、もやは天才じゃないだろうか。いや、信長君がそういうことを言っているはずではない。
「頑張ってくださいですかね」
「違うだろ。普通、できるわけないって思うだろ」
「それもそうですね。でも、ものすごく天才だったら。あるいは」
「ねぇよ。じゃあ、お前は自分が書き手の天才とでも言うのか。違うだろ」
なぜだか、言動に熱を帯びている。怒っているのだろうか。まぁ、言っていることは、ものすごくわかってしまう。
「そうですね」
「だから、あいつも怒ったんだろ」
「そういうことだったんですね」
「それよりも、お前よかったね」
「何がですか。僕は、人に怒られて喜ぶ趣味なんてないですよ。信長君はそいうい系なんですか」
「なわけあるか。デートだろ。デート」
「でーと?誰がですか」
僕は言葉の意味が分からず、ただただジュースをちょこちょこと飲む。
「お前と結城がだよ」
「僕と結城さんがですか。そんなことあるわけないですよ」
「今、お前誘われただろ」
「信長君、デートの定義とは何なんでしょう」
僕はデートという言葉は、ギャルゲーのおかげで聞きなれている。でも、ただラノベを買いに行くことが、デートと言えるのだろうか。最もその定義に不可欠なのは好意があることだと思う。しかし、僕はあったばかりのあの子に好感はあれど、好意と呼べるものはない。彼女も怒っている様子だったので好意があるとは思えない。
「知るか。俺は女友達はいても、男女数人で遊んでるからな」
僕は、ジト目で信長君を見る。このチャラ男がそんなわけはない。いや、遊び人だからこそなのか。
「さすがチャラ男ですね」
「なんか言ったか」
冷静な怒りを感じるのは、気のせいだろうか。まあ、信長君のは、さておき僕はどうすればいいのだろう。
「デートですか・・」
声に出していってみた。再確認してみる。
「そうだ。うまくいけば、付き合えるかもしれないだろ」
「いや、僕みたいな人に彼女なんて。ましてや結城さんなんて高嶺の花みたいなものですし」
「そりゃそうだよな。結構人気っぽいし」
そうだよね。なかなかの美人である結城さん。そんな子とデートなんてなんかわくわくする自分がいるのが何故だか不思議な気持ちだ。
結局そんなことを協議していても無意味だと言われひとまず信長君と別れることになった。
僕は、家に帰って考えてみた。デートとは、何か。まぁ、土曜日になったら分かるだろう。僕はひとまず考えないようにして、ゲームに勤しむことにした。
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