第6話 景虎、ナンパをするⅡ

僕は誠心誠意で頭を下げた。


よし、出来た・・・。これで・・・。


 やっとの思いで、友達申請したのに、周りはなぜだがざわついていた。なぜだろうか、普通にやったつもりのはずなんだけど・・。


「そんなイケメンだからって調子乗ってるの。付き合うわけないでしょ」


「えっと・・・・。イケメンとは、誰がでしょうか」


「はぁ・・。ひとまず、あなたと付き合う気持ちなんてこれっぽちもないから」


「はぁ、そうですか」


 僕は、きっぱりと断られてしまった。周りは、なぜか笑うものいた。やはり、そう甘くはないのだろう。難しいものだ。


 僕は、その場から逃げるように廊下にいる信長君のほうに走っていった。すると、待ってくれていた信長君は、なぜだか怒ってるように見えた。


 やっぱ、逃げ出した僕を怒ってるのかな。


「あの・・・。友達になれませんでした・・・」


「様子を見てたら分かってる。で、なんて言ったんだ」


 信長君は、怒ってる顔とは反面、なんとも優しい口調であった。怒りは、見え隠れしているのだが。


「僕と友達からでいいから付き合ってくださいって言ったんだけど・・・」


 とりあえず、自分の渾身の友達申請を話したのだけれど、やれやれという顔をしている、我が友達のチャラ男。


「やっぱな・・・・・。だから、それは告白の時使うんだよ!」


 少し間が相手からやはり怒られた。


「間違っちゃいました・・・」


「で、なんて言われたんだ」


「なんか、イケメンがどうとか・・。誰のことだったんでしょうか・・。まぁ、ひとまずダメでした」


 僕が、深く言葉の真意を考えていると、信長君は深くため息をついているようだ。


「やっぱ、お前じゃ難易度が高かった・・・か・・」


 そう言うと、僕の肩をポンと手を置いてから、Bクラスに入っていった。遠目から見ていたが、なにやら読書ボッチに話しているようだ。


やはりさすが。チャラ男だなー。ナンパはお手の物ってやつか。


 すると、信長君が僕とは全く違う雰囲気でこちらに歩いてきた。


「景虎、昨日のファミレスに行くぞ」


「えっ、でもあの子は・・・」


「いいから行くぞ」


 僕は、こうやって半ば強引にファミレスに連れてこられたのである。


「あの・・・。僕・・・重度の金欠なんですけど」


「まぁ、必要経費だと考えろ」


「そんな・・・・」


 信長君は、外を眺めるのが好きなのか、昨日のように頬杖を突きながら外を見ている。すると、急ににやりと笑った。


「よし、ちゃんと来た」


 立ち上げると、今入ってきた客に手招きをしている風景を見てしまった。


「あの、久我君。私あまり無駄な時間を作りたくないのだけれど・・・」


「ああ、無駄にはしないさ、まぁ、座れ」


「はぁ・・」


 僕の前で信長君と会話してるのは、あの読書ボッチである結城千代である。渋々席に着いた。


「てことで、景虎と結城。まずは、自己紹介だ」


「えっ、いきなりですね。一年C組の臼井景虎です」


「一年B組の結城千代。で、これは何のつもりかしら」


「まぁまぁ、まずは景虎が謝りたいことあるらしいからな」


「(えっ・・・。僕ですか)」


「(まずは、あの告白まがいのことをだよ)」


「(そういうことですか。分かりました)」


 僕らは、ひそひそと話していると、千代は席を立とうとしていた。


「やっぱ無駄な時間じゃ・・・」


「すみませんでした。さっきは・・・。僕はただ友達になってほしかっただけで・・・。ちょっと言い方分からなくて、ラノベのセリフから引用したら、間違ってたっぽくてですね」


「臼井君も、ラノベ読むの?」


「えっ、最近読んでますけど」


「そうなんだ・・・。私も読んでる。・・・・許してあげる。代わりに・・・」


「代わりに?」


「私と友達になりましょう」

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