法律の基礎知識[3][4][5]
[3]法律の原則
はい、じゃあ、先生、今から法律の原則のお話をしまーす。テストで出まーす。
さっきの特別法が優先されるのもそうですが、優先順位だと『後法優先の原則』とかもありますね。当てはめられる法律が複数ある場合には、後に作られた法律の方が優先するよっていう。
処罰の関係だと『罪刑法定主義』と『一事不再理の原則』なんかもあります。罪刑法定主義は罪と罰は先に法律で決めとけっていうあれです。一事不再理の原則は、ある不祥事に対して確定した処罰を、もう一度ほじくり返すなよ、って言えば分かり易い? 労基法に何の関係があるの、って思うかも知れないけど、就業規則の懲戒処分に関係すると思いやがってください。
処罰関係に近いものだと、『法不遡及の原則』もありますね。さっきの罪刑法定主義にも近いものがありますが、こっちは何か不利な条件を同意なしに一方的に過去に遡らせてはいけないよ、っていう原則だYO。
契約関係だと『エストッペル』なんかもあります。ええ、日本語で言うと『禁反言の原則』です。先生、少し厨二病でした。まあ、禁反言も禁反言でなんとなく反閇っぽく陰陽師な雰囲気でいいですよね。
『エストッペル』を簡単に言えば、前と言ってること違うのは駄目よ、という原則。
似たようなもので『クリーンハンズの原則』もありますな。これは権利を主張したい案件について身ぎれいな人じゃないと権利を認められないよ、っていう感じ?
契約関係で重要な原則はあと二つありまーす。まだ寝ちゃ駄目でーす。
はい、『契約自由の原則』。これは民法の以下の条文というか民主主義国家というか自由経済を担保するための原則みたいなものですね。
(契約の締結及び内容の自由)
第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
(契約の成立と方式)
第522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
契約の内容は当事者同士で自由に決めるがよいってことです。
あともう一つ。かっちょええ名前が付いてないんですけど、同じく民法第90条から公序良俗違反について。
(公序良俗)
第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
そのときの一般的な道徳的価値観をベースにして考えて、おかしなことは無効になるよ、ていうことです。法律用語の無効というのは初めからなかったことになる、という事ですからあまりにもひどい契約は結ばなかったことになるよ、というやつです。
え? じゃあ、監禁して奴隷みたいに最低賃金ぶっちぎってる契約で働かされてるとか働かせてる場合にはどうなるの? というのは特別法の労基法に書いてあるので、後ほど逐条解説で説明しまっす。
[4]構成してるあれ
法律ってなんか同じような名前で最後だけ違うの、なんなの!?
あと項とか号とかってなんなのよ!
うん、分かる。ま、ここは簡単に。
例えば労働基準法には労働基準法施行規則とか労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令っていうのがあったりする。
施行規則とか省令とかは省庁がなんか細かいルールを決めるやつ。施行令とか政令は内閣が細かいルールを決めるやつ。
メリットは国会を通さなくてもルールを変えられること。
なので、これは国会の審議を通さずに臨機応変に変えられた方がいいだろうな、っていうのは法律を作るときに政令で定めるとか、省令で定めるとか書いてある。
項とか号とかは条文の中の番号ね。
法律は大きい番号から順番に章、節、条、項、号。
つまり、俺たち! 法律ファイヴ!
長男のショー! 次男のセツ! 三男のジョー! 四男のコー! 五男のゴー!
というわけです。
ちなみに次男と五男は用事を思い出したりしていないこともあります。
[5]法律の用語説明
ほい、簡単な用語説明するよ。
及びと並びにの違いは? 及びは小さなまとまりをつなげる、並びには大きなまとまりをつなげる。(コンソメポテチ and のりしおポテチ) and たまごサンド 1個目のandが及びで2個目が並びに。すべて同じようなまとまりなら及びを1回だけ使う。
又はと若しくはの違いは? 又はが大きなまとまり、若しくはが小さなまとまり。しゃけおにぎり or (カレーパン or クリームパン) 1個目のorが又は、2個目のorが若しくは。すべて同じようなまとまりなら又はを1回だけ使う。
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