第26話 Crazy girs
「あらあら、もういらっしゃいましたか」
廃教会内に声が響き渡り、光が射し込む天井から一人の女性が現れた。
「お待ちしておりました。ルイス様」
【フレイチェ】はそう言うと頭を下げて俺の前に跪く。
「あ、あなたは──」
「ルイス様に逆らった──」
「その節は申し訳ございませんでした」
「それでフレイチェ、なぜ柱に仲間を潜ませているんだ?」
俺がフレイチェにそう問うと、フレイチェは仲間に「みんな、ルイス様よ。出てきて良いわよ」と指示を出す。
すると、潜んでいた仲間が次々と俺の前に出て来て跪いた。
「ここに来る人物が敵の可能性もありましたので、潜ませておりました。どうかこのご無礼をお許しください」
「フレイチェ、ちょっと立て」
「はい」
俺は跪くフレイチェに命令して立たせる。
「ふんぬっ!!」
俺は勢いよくフレイチェの顔面に向けて拳を振るった。
その直後、フレイチェは廃教会の壁に体を強く打ちつけた。
「かはっ!」
フレイチェは壁に打ちつけられた衝撃により口から吐血した。
「それは俺かどうか分からなかったということだな?」
俺はフレイチェの元へとゆっくりと歩み寄り、頭を掴みながら顔を覗き込んだ。
「そ、それは……」
「あぁ、言い訳はいいんだフレイチェ──君たちには失望したよ」
「──ッ!!」
「俺はもうお前たちには期待しない」
俺はにこやかにそう告げ、フレイチェの頭から手を離す。
「あーあ、フレイチェさん、主様を怒らせちゃダメだよ?」
陰から【Deus vult《デウス・ウルト》】と書かれた黒色のキャップを被った少女が幼い少女たちを連れて、俺たちの後ろから歩いてきた。
「何だ【ムー】か」
「はい、主様のムーです! 私たち【ソテーリア】全員、御身の前に」
ムーが頭を下げて跪くとそれに続いて幼い少女たちは頭を下げて跪く。
「ソテーリアは全員整列して俺の前に並べ」
「はいなのです!」
ムーはすぐさま少女たちを整列させる。
「ムーは俺の横に来い」
「はーい、主様〜!!」
ムーは軽い足取りで俺の側まで来た。
「では、始めるぞ。お前たち、気を緩めるなよ?」
その言葉と共に俺は少女たちに襲いかかった。
「オラオラオラオラ、オラァァァアアアッッ!! どうしたッ!? その程度か!!」
俺はソテーリアの少女たちを片っ端から手刀を使い、
彼女たちは、本気で俺の攻撃を避けるが──当たる。それは何故か──単純なことさ、相手がどう動くか先の先を読んでいるからだ。
だが、それは並大抵の努力では出来ないことである。俺は自分にも厳しいため、どうしても自分に納得がいかないと出来るまでそれを極めてしまうのだ。
──結果として、俺は色んなことを身に着けることが出来るのだ。
「それでムー、この結果をどう見るべきかな?」
俺は一通り、ソテーリアをムー以外全員始末し終えてハンカチを使い、手についた返り血を拭う。
その床には倒れ伏し、血まみれになったソテーリアの少女たちが笑顔で事切れていた。
俺に殺されると肌で感じてても、一切恐怖せず笑顔でいるなんて、コイツらはクレイジーなガールたちだな。
素晴らしい、実に素晴らしい。忠誠心が高いことはとても良いことだ。新たな俺の駒として利用させてもらうぞ? ソテーリア。
俺はニヤリと悪魔的笑みを浮かべた。
「未熟、この一言に尽きます。しかし、主様に殺して頂いて、みんなが幸せそうに死んでいる姿におきましては満点だと思います」
「そうだな、確かに笑ったまま死ぬなんて芸当、お前たちソテーリアにしか出来ないことだな」
「お褒め頂き光栄です。主様!!」
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