第27話 ご褒美です〜

 私、リナは少しだけムーたち、ソテーリアに対して嫉妬していた。

 何故なら──


「オラオラオラオラ、オラァァァアアアッッ!! どうしたッ!? その程度か!!」


 彼女たちはルイス様自らの手で殺されていた。

 しかも笑った顔で……う、う、ウラヤマシイ!

 どう考えても羨ましすぎますよ!! ルイス様に仕える者であれば、誰もが一度は望むであろうルイス様による制裁──しかも上級の制裁……これは一度でいいから是非ともルイス様に殺られたいです♡   

 ハァ、ハァ、ルイス様、ルイス様♡

私は何とか顔に出ないように頑張ったが、身体はとても正直でルイス様に反応しまっくっていた。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


 ルイス様、凄いです! 私、もこもルイス様に認められるように精進しないといけないですね。

 それにしても──羨ましいですね。ルイス様による罰は。リナからとても素晴らしいものと聞きましたが、これほどまでに素晴らしいとは……。

 蜘蛛型形態でいるときに感じる感覚と人型形態でいる今の感覚では全然違う感覚なので、ルイス様があの子たちを屠っている姿を見ていると──身体が火照ってきてしまいます。これは──一体何なんでしょうか? ハッ! もしかして、今になって唐辛子の辛さが現れた!?


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「よしっ! ムー、俺の前に立つんだ」

「は〜い!!」

 ムーは俺の言われた通りに目の前に立つ。

「はっ!!」

 次の瞬間、俺はムーの心臓を手刀で貫いた。

「俺に無慈悲に心臓を貫かれて殺されても笑うのか──ムー」

「は……い……、当然ですよ……ルイス様。私たちはルイス様の物です。他の誰の物でもないです。ルイス様に自らの手で殺されることは、私たちソテーリアにとってはこの上ない幸せなんです。私たちごときのために、ルイス様が労力と時間を使って──手間暇かけて殺してくださっているんです。ルイス様には、感謝せずにはいられない……で……す……」

 その言葉を最後にムーは事切れた。

「……そうか」

俺はムーの心臓に突き刺した腕を引き抜く。

 それと同時にムーは仰向けにドスッと音を立てて倒れた。俺に殺されたムーの顔はとても幸せそうな顔をしていた。

 ムー、お前らは相当にイカれてるよ。この俺ですら驚怖するほどにな。これほど俺への忠誠心が有れば問題あるまい。きっと使いやすい駒になるな。

 フッフッフッフ、ハッハッハッハ!!

俺は先ほど自らの手で殺したソテーリアに近付き、手を死体の方に向ける。

「──

 俺がそう呟くと少女たち、ソテーリアの死体が倒れている床に複数の魔法陣が現れ、みるみるうちに致命傷だった少女たちの傷を塞いでいった。

 これは蘇生魔法、リザレクション。どんな植物や動物でも生き返らせることができる魔法だ。俺は手駒を再利用、つまりリサイクル出来るようにするためにこの魔法を覚えたんだが、俺にとっては非常に都合がいい魔法過ぎて、まるで天が味方してくれている気分だ。この魔法を覚えるのにどれだけ丹念したか──お前たちにも理解してもらいたいよ。だが、蘇生魔法のリザレクションには欠点がある。この魔法は魔力消費がとても激しく、連発して出せる魔法ではないということ。そして、蘇生魔法がこのリザレクションしかないということ。

 …………。ふざけているのか? 何故、蘇生魔法がこのリザレクションしかないだ? 研究者たちは一体何をしているんだ? まさか人類は魔法があるこの現状に満足して、新しい魔法を生み出さずに、高い高い玉座にでも踏ん反り返って進化をサボっているのではあるまいな?  ハァ、仕方ない、空いている時間に魔道具の作成と新しい魔法を作る研究でもするか。

「……う……んしょっ」

傷が塞がったムーを含めるソテーリアは立ち上がり、再び俺の前で跪いた。

「すまなかったな、一回殺してしまって。だが、実戦では無いとはいえ、ここで俺が手を抜いて殺らなかったら、お前たちはきっと傲慢不遜ごうまんふそんになり、敵をあなどり殺られていただろう」

「いえ、滅相もございません。ルイス様が私たちに愛があって行っているということは、みんな承知の上です」

「愛……ねぇ……」

 俺はボソリと呟く。

「ん? ルイス様、どうかしました?」

「いや、何でもない」

 余計なことだと思い、俺は考えるのを止めた。

「さてと、じゃあ次は──」

 俺はフレイチェに視線を向けた。

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