第25話 廃教会

「あっ、ルイスさん! 今日はどんな依頼を受けますか?」

 俺はリナともこを連れて冒険者ギルドに足を運んでいた。

「ステーシー、この薬草採取の依頼を頼む」

「えっ……と……この薬草採取……ですか?」

 ステーシーは俺のことをキョトンとした顔で見てきた。

 えっ、もしかしてこの薬草採取の依頼って──ま、ままま、まさかっ!? い、いや、そんなことって……俺に限ってそんな勘違いをするわけが──

「ん? ルイスさん、どうかなさいましたか?」

「いや、何でもない。少し考え事をしていた」

「そうですか、ではこのCランクの薬草採取の依頼、頑張って下さいね!」

 おいおいオイオイ! ちょっと待て、Cランクの薬草採取なんて聞いたことないぞ! はぁ、よく見れば良かった……。まあ、受けたから仕方ない。

「リナ、もこ行くぞ」

「はっ!」

「はい」

 俺は新しくなったCランクの冒険者プレートと共に薬草採取の依頼を受けて、冒険者ギルドを後にした。

 まあ、これはに行くための建前だ。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「ルイス様」

「何だ? リナ」

「愚かな我が身に教えて頂きたいのですが……。薬草採取に向かわれないのですか?」

 その言葉を聞いた俺は足を止めた。

「も、申し訳ございませんルイス様!! 私が浅はかなばかりに!! この無礼、死んでお詫び──」

「待てリナ。別に俺はお前が浅はかだから足を止めた訳じゃない」

 レイピアを鞘から抜いて自分の首を斬ろうとする愚か者を止めさせて、レイピアを鞘に納めさせる。

「お前たちには言っていなかったが、今から向かうのは王都から外れた地域にある廃教会だ」

「廃教会……でございますか?」

「廃教会……ですか?」

 リナともこは二人して頭にハテナマークを浮かべた。シンクロ率高すぎて、まるで本物の姉妹みたいだな。いっそのこともう姉妹の契りを結んじゃって、義姉妹にしてしまうか……その方が俺としてもメリットがあるからな……。因みに今のもこは人型形態である。

 まあ、それは後ほど考えるから置いといて──。

「あぁ、そうだ。先日、自分たちの立場を弁えず、俺に喧嘩を吹っ掛けてきたのにも関わらず返り討ちにされたが居るところだ」

「あ〜、もしかしてあの方々のことでございますか? あのルイス様と私達がしつけられた亜麻色を基調としたナイトキャップとドレスを着た女たちと『今から行うのは救済なんです! それは神によって定められた運命なのです!』とか仰っていた胡散臭い幼い少女たちのことですよね?」

「不愉快でしたね。至高の御方であるルイス様こそ神に相応しい──いや、神をも凌駕する存在であるというのに──彼女たちがそれを汚したことを私はまだ許してないです」

 二人はそれぞれそんな言葉を口にする。

「着いたぞ」

 そんなこんなで俺たちは廃教会に着いた。

「ここが彼女たちの拠点ですか」

「正確に言うなら俺たちの──だろ?」

「はっ、失礼しました」

「じゃあ、入るぞ? あー、そうだ。リナ、もこ、クレグレもように……な?」

 俺は二人に注意を促し廃教会の内部に入った。

瓦礫がれきの山が綺麗にたくさん積まれていますね」

「草花のツタも柱に綺麗に巻き付いてますね。彼女たちがやったのでしょうか?」

 廃教会の中は草花で生い茂り、近くに積まれた瓦礫の山に崩れ落ちて無くなった天井の隙間から光がし込んでいた。


「あらあら、もういらっしゃいましたか」

 廃教会内に声が響き渡り、光が射し込む天井から一人の女性が現れた。

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