あなたを独占できる唯一の瞬間

「出席とるぞー」


 騒がしい教室に担任の先生の声だけがはっきりと私の耳に届く。朝からみんな元気だ。

 私はぼんやりと窓側の席から空を見ていた。呼ばれるまでまだ余裕はある。だって、私の名字は一番最後だから。


「渡辺由佳」

「はい」


 頬が熱くなる。

 先生、私はもっとあなたに名前を呼んでほしいです。

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